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「日本のトマトは年間1万トン捨てられています」トマト農家が語る“価格高騰”の背景。廃棄ゼロを目指す取り組みも

「世界一青臭くないトマトジュース」を開発中

──どんな再利用法を考えていますか? トマト男:フォロワーさんにご意見をいただきながら進めるスタイルで、最初は「トマトペーストを作って売ってみたら?」という意見を元に、クラウドファンディングで挑戦したものの、加工費が高くつきすぎて採算が合わず、断念しました。 今は子ども食堂や動物園に提供するほか、訳ありトマトとして1玉80〜90円で販売したり、ふるさと納税の返礼品にしたりしています。 規格外トマトを安価で販売──安い!それならSPA!読者も躊躇なく買えると思います(笑)。 トマト男:僕のInstagramのアカウントは、トマトが好きな人や廃棄削減を応援してくれる人が集まっています。なんですけど、いざ「トマトジュースは好き?」というアンケートをとったら、「嫌い」と答えた人が3割もいたんです。実は僕も好きじゃないんですが(笑)。 その理由の半分は、「青臭いから」とのことでした。それならば、トマトジュースが嫌いな人向けに、「世界一青臭くないトマトジュース」をテーマに商品を作れば、手にとってもらえるかなと思い、現在開発中です。 ──商品開発する上で大変なことは? トマト男:すべて一人でやっているので、何を作るにせよ外注費や加工費がどうしても高くついて商品の価格も高くなってしまうんです。自社で加工場を作るにしても初期投資が莫大にかかります。 当然、大手メーカーとの価格競争には勝てませんから、価格以上の付加価値を出すことにかかっています。農業しかしてきていないので、開発力やブランディングには限界がある。このままでは進まないので、スタッフも徐々に増やしたくはあるのですが…。

トマト祭りを熊本県八代市でも開催したい

──別業界からの反響やコラボレーションなどはありましたか? トマト男:地元のスターバックスさんから共同イベントの開催に興味を示していただいたり、先日は牡蠣の養殖業者から飼料としての引き合いで問い合わせがあったり。牡蠣にトマトを飼料として与えたらおいしくなったそうで。 ──トマトが牡蠣をおいしくするんですね…!今後のビジョンはいかがですか? トマト男:今後僕がトマトジュースを開発しても、使いきれないくらい規格外トマトはあります。なので、飲食店や加工業者などと手を組んで、あらゆる活用法を見出したいと思っています。加工先の出口ができたら、最終的には廃棄トマト向けの出荷組合を作りたいですね。 それと活動当初からの夢は、スペインで有名なトマト祭りを八代でも開催することです。食べ物を投げる祭りなので、日本人の倫理的なハードルもあるし、街中では難しいですが、広大な畑でならできるかなと。祭りの後、散乱したつぶれたトマトを肥料にするところまでセットで考えていて、絶対実現させたいですね。
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トマトには美肌効果も?
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EDIT for FUTURE代表取締役。編集者、ライター、編集コンサルタントとして多くのメディアで編集長やライティング、記事制作を手がける。おもなジャンルはビジネス、ライフスタイル系。趣味は散歩とギターと山登り。

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