更新日:2025年07月15日 15:14
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立ち飲みおでん屋の恋【王子駅 ・平澤かまぼこ】/カツセマサヒコ

ただ東京で生まれたというだけで何かを期待されるか、どこかを軽蔑されてきた気がする――そんな小説家カツセマサヒコが“アウェイな東京”に馴染むべくさまざまな店を訪ねては狼狽える冒険エッセイがスタート。願いは今日も「すこしドラマになってくれ」

立ち飲みおでん屋の恋【王子駅 ・平澤かまぼこ】vol.3

お金が全てではない。でも、お金があったらもう少し変わった世界が見られたのかもしれない。 そうぼんやり考えていたのは、今ひとりで飲み始めたばかりの立ち飲み屋「平澤かまぼこ」が、東京都北区にある「渋沢史料館」からほど近くにあるからだ。 2024年に日本の紙幣が新しくなって、一万円札には渋沢栄一が印刷された。その栄誉に便乗するように、渋沢史料館がある飛鳥山公園には「祝・お札掲載!」みたいなのぼり旗が無限に立てられて、たまたまそこを通った私の目には、渋沢栄一と一万円札の存在が嫌というほど刻み込まれてしまったのだった。

1986年、東京都生まれ。小説家。『明け方の若者たち』(幻冬舎)でデビュー。そのほか著書に『夜行秘密』(双葉社)、『ブルーマリッジ』(新潮社)、『わたしたちは、海』(光文社)などがある。好きなチェーン店は「味の民芸」「てんや」「珈琲館」