ここから先は、運命です【荻窪駅 ・邪宗門(喫茶店)】/カツセマサヒコ
ただ東京で生まれたというだけで何かを期待されるか、どこかを軽蔑されてきた気がする――そんな小説家カツセマサヒコが“アウェイな東京”に馴染むべくさまざまな店を訪ねては狼狽える冒険エッセイがスタート。願いは今日も「すこしドラマになってくれ」
小学4年のときに、クラスメイトの女子に恋をした。
祝日の関係で学校が3連休に入れば、好きな子に3日も会えないことをただただつまらなく思った。
ある連休初日、親に連れられて街へ出ると、たまたまそのクラスメイトと遭遇することがあった。一度だけでも十分浮かれたのに、同じことが3日連続で続いたので、浮かれきった。
単純な私は、もう偶然じゃなく、ここから先は運命ですと、恋の神様に言われた気がした。
小学生の恋なんて吹けば飛ぶほど軽いもので、その人とは結局お付き合いすることなく今に至るけれど、じゃあどうしてそんな古い記憶を持ち出したかというと、今いる喫茶店の壁に、小学生が書いたような相合傘のラクガキがあって、そこに彼女と同じ名前を偶然発見したからである。
1986年、東京都生まれ。小説家。『明け方の若者たち』(幻冬舎)でデビュー。そのほか著書に『夜行秘密』(双葉社)、『ブルーマリッジ』(新潮社)、『わたしたちは、海』(光文社)などがある。好きなチェーン店は「味の民芸」「てんや」「珈琲館」
ここから先は、運命です【荻窪駅 ・邪宗門(喫茶店)】vol.4
1986年、東京都生まれ。小説家。『明け方の若者たち』(幻冬舎)でデビュー。そのほか著書に『夜行秘密』(双葉社)、『ブルーマリッジ』(新潮社)、『わたしたちは、海』(光文社)などがある。好きなチェーン店は「味の民芸」「てんや」「珈琲館」



