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中年男性が「履いてはいけない」靴。40代以上には“残酷なほど似合わない”憧れのアイテムも

その一足、大丈夫?合皮スニーカーの意外なデメリット

なにもかもが値上がりし、靴にお金をかけられないという事情はよくわかります。しかし、私の身の周りのお父さん世代でよく見かける「ちょっといいブランドの合皮スニーカー」も、思ったより安っぽさ丸出しなので手出し厳禁です。
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アディダス「グランドコート」。3984円。写真は販売サイトのAmazonより

Amazonやしまむらで3000~4000円で売られている合皮アディダス。クラシックなデザインで配色も落ち着いてはいるのですが、この手の格安合皮スニーカーは加水分解で壊れるのも異常に早く、コスパは最悪です。洗っても汚れが全然落ちません。合皮というよりビニールに近い素材なので、履きジワに汚れがあっという間に定着します。ストレートに言ってしまうと、数か月で不潔な印象の残念な靴になってしまうのです。実際、インソールが取り外せず、合皮だと蒸れやすくなり、臭いが発生しやすくなります。まさに安物買いの銭失いです。 徹底的にコストを抑えるなら、おすすめブランドはふたつ。歩く・走るなどの機能に特化するならワークマン、おしゃれに振り切るならGUです。同価格帯でも低コスト・高クオリティの靴が手に入ります。

オンオフ兼用は危険信号。ビジカジ靴の盲点

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チヨダ「バイオフィッターBF-5301」。5940円。写真は公式HPより

最後に、「オンオフ兼用で使えますよ」がウリのビジネスカジュアル。中でも合皮・横チャック付きは便利そうではありますが、シニア感満載になるので手を出さないのが賢明です。この手のシューズの設計は完全に「お年寄り」のために設計されています。思うように指先が動かない、靴のメンテナンスも難しいという方にはやさしいつくりですが、まだそこまで制限されていない方はやめておきましょう。 オンオフ兼用は令和の地雷ワードです。服の世界には通用しても、靴の世界は一周遅れています。これにより、まあまあの高額品でなければオンオフ兼用はどっちつかずのイタイ靴になる可能性が高いです。この手の靴は、ショップとしては販売しやすいので「オンオフ兼用、雨の日も安心、出張にも使えますよ」と3拍子揃うと万人に勧められるかもしれませんが、一歩引いてよく考えましょう。
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メレル「ジャングルモック2.0」。1万8480円。写真は公式HPより

ちなみに合皮シューズの寿命はせいぜい2年です。個人的におすすめできるものとして、メレルの「ジャングルモック2.0」が良いと思います。横チャックではなく、するっと足が入るハンズフリー構造。合皮ではなく、撥水加工されたフルグレインレザー。雨の日を想定したすべりにくいビブラムソールです。通常のジャングルモックはどこかもっさりしていてメリハリの効かないフォルムですが、「2.0」は街履きを強く意識しています。悪天候もオフロードも関係なく、運転にも支障がないので、ジャケットスタイルの出張まで想定するならこのあたりが目安です。 40代を超えてくると、靴選び自体が面倒になって体のあちこちにガタも出始めるので、なんとなくネットで買ってしまう気持ちもわかります。いざ買ってみると「しっくりこない」と感じる方が多いでしょう。買う前に、まずは気軽に靴を洗うところから始めるのがベストです。買うならやはり実店舗です。自分のお気に入りとマイサイズをしっかり把握したら、2回目以降はネットが有効です。憂鬱な世の中、足元から気分を上げていきましょう。
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』
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