1100万円の損切りと700万円の利益確定
――2024年はどのようなパフォーマンスでしたか?
岐阜:ひどい年でしたね。2024年は年初から株価が上がって、バブル後高値を更新、一気に4万円超えまでいったんですね。そのとき、日経とナスダックをショートしていたんです。
1月にショートした分は2月に550万円ほど損切りしたのですが、どこを見てもみんな「儲かった!儲かった!」っていうポストしかないなかで、自分だけが損切りしていて、本当に苦しかったです。
しかも、そこから逆にロングで入ればいいのに、買うこともできず、ひたすら上がってくのを指をくわえて眺めているだけで、後悔しかなかったですね。
続いて2月には原油先物をショートしたのですが、それもどんどん上がって、3月か4月に330万円くらいを損切りして……。
そのあともちょこちょこ損切りして、5月には確定損失で1100万円になっていました。このときはさすがに再就職とかハローワークが頭にチラつきましたね。
――年後半はどうでしたか?
岐阜:実は12月上旬の時点で700万円ほど取り返すことができ、1100万円のマイナスが400万円のマイナスまで減っています。そのほかに今、含み損が200万円ちょっとありますが。
――年後半に700万円も取り返すことができたのですね! 主に何で利益を出すことができたのですか?
岐阜:FXですね。FXの収支は433万5812円のプラスなんですよ。
――なぜFXでは勝てているのですか?
岐阜:なぜでしょうね(笑)。ヘタな逆張りをするとまず負けるので、一番気をつけているのは「トレンドに乗る」ということですね。
特に自分がよく見ているのは、日足の75日移動平均線と5日移動平均線です。75日移動平均線が上を向いて上昇トレンドが出ているときに、ずっと下がっていた5日移動平均線が上向いてきたとき。
いわゆる「押し目」からの反転のタイミングで、ちょっと遅れて入るくらいの気持ちでエントリーしています。押し目の「底」を取ろうとするのではなく、底を打って、ちゃんと上がったのを確認してから買いで入っています。
上昇トレンドでこう続く場合は、そこからでもバーッと上がっていくので、その一部を取るのを目指しています。
――今までは「そろそろ底を打って反転するんじゃないか」という予想でエントリーしていたけれど、明確に反転してきたのを確認してから入るようにしたら勝てるようになったということですね。
岐阜:そうなんですよ。だいたいいつも、ポジション取るのが早い。まだ底打ちする前に買ってしまい、損切りすることが多かった。その損切りをした後にブワーッと上がっていく。
そんなことが多かったので、大底と天井を当てるのは諦めて、上がり始めたのを見てからエントリーしています。それでも十分間に合うし、勝率も高いと思いますね。
――FXにおいては勝ちパターンを身に着けたということですね。でも、そんなに勝ってしまう岐阜さんは、“岐阜さんらしさ”がない感じもしますが……。
岐阜:いやいや、日経先物とか原油先物とかで死ぬほど負けてますから!(笑) それに、そのルールを作っても、ルールを守れなくなる瞬間があるわけですよ。
ルールを守って機械的にできれば、案外、投資ってみんな勝てると思うんです。ただ、負けが込んだりしてメンタルが崩れてしまうと、やってはいけない取引をしてしまい、負ける。
例えば、勝てるタイミングでエントリーすればいいのに、違うタイミングで買ってしまう。損切りをしなければいけないのに、損切りせず大きな含み損を抱えてしまう。一度設定した逆指値をずらす。本当にメンタルが崩れるとよくないですね。長期投資はテクニカルとかよりもファンダメンタルなどの影響が大きいですが、短期トレードになればなるほど、メンタルの重要性が大きくなると思います。
――たくさんの“しくじり”を経験した岐阜さんだからこそ、負けから学んだ経験がすごく参考になると思います。
岐阜:投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏も、「第1ルール、損しないこと。 第2ルール、第1ルールを忘れるな」という黄金のルールを持っていると言われます。まずは「負けないこと」が大事で、増やすのは二の次でいい、と。
――新生・岐阜暴威さんは、2025年の相場をどのように見ていますか?
岐阜:けっこう不穏な空気が相場に漂っているような気がしています。なぜかと言うと、新NISAをはじめ、みんなが米国株相場に対して前のめりすぎると感じていて。
Xでは、「新NISAは年始に一括投資!」みたいな声も多いんですね。こういうときってみんなが安心してるから、ジワジワ下がっても「安く買えた、ありがとう」なんて言って強気で買い増しして、さらにジワジワ下がって、真綿で首を絞められるような相場が来るかもしれない、ということも想定しています。
あるいは、8月5日の「令和のブラックマンデー」のような、何かをきっかけに売りが売りを呼ぶ大暴落もあるかもしれない。基本的にはインフレになれば株価も上がっていきますが、そんなリスクも起こりうるかもしれないということは、頭の片隅に置いて注意深くトレードしていきたいと思っています。

2025年は順調に資産を増やすことができていて、3月の時点で含み損益も考慮して2460万円になっています。僕は1000万円を「億チケット」と呼んでいるのですが、今、億チケットは2枚持っています。2025年には3枚目の億チケットを入手できるようにしたいですね。
【プロフィール】
岐阜暴威
個人投資家。2006年1月から株式投資を始めるも、ライブドアショックで即退場。すぐに入金して復活するも、2008年のリーマンショックで再度退場。その後も入金して復活しては退場を繰り返し、いつしか“逆神”の異名を持つように。株のほか、FX、日経先物、原油先物などにも手を出す。Xのフォロワー数は17万を超える。Xのアカウントは
@gihuboy
<取材・文/日刊SPA!編集部 撮影協力/
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