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「日本はアメリカの野球を変えている」メジャーリーガーが真似できない、日本人投手の“脅威の能力”とは?

「農耕民族は身体の使い方が違う」

「いや、日本人のほうが進んでるというのではなく、身体の使い方がそもそも違うんです。日本人は農耕民族だから、足首と膝をすごく使う。アメリカの人は足首と膝はすごく硬いけど、股関節をうまく使うんですよね」  すると、鈴木氏はおもむろに立ち上がると、物を拾い上げる動作をしてみせた。 「消しゴムを拾うとき、僕ら日本人は(膝と足首を曲げて屈みながら)こう拾うでしょ? ピッチングも同じで、日本人は自然に膝と足首を動かす。でも、アメリカ人はこんな風にかがまないんです。身体のつくりと使い方が違うんですよ。楽なのは、そんなに曲げないで拾う欧米人の身体の使い方なんですけどね」  これにはフリードマン氏も「すごく興味深い話ですね。今一つ、私も学ぶことができました」としきりに感心していた。

ピッチクロックの弊害

   参加者からの質問コーナーではフリードマン氏の示唆深い見解が、会場を唸らせた。

参加者からはMLBの投球分析に関する質問が相次いだ

 MLBでは2023年から試合時間の短縮のため、投手が一定時間内に投球しなければならないピッチクロックというルールが規定されている。18日の試合でも、ドジャース先発の山本由伸が投球の一球目でいきなり「違反」を取られるなどしていた。  日本でも導入の議論が進んでいるが、ケガのリスクが懸念されている。そのことを尋ねられたフリードマン氏は、こう懸念を示した。 「ケガとの相関性はあり得ると思います。そう考える理由はいくつかありますが、一つにはリカバリーの問題です。ウェイトトレーニングをする場合でも、セット間に回復の時間をいくらか取ることで、再び出力を上げることができますよね。  もしセット間に休む時間をあまり取らずにウェイトを繰り返せば、疲れてしまいます。同様に、投球間隔を制限して次々と投げることは、ヒジを守るための筋肉も疲労し、それが靭帯に過度な負荷をかけるかもしれません」
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登板間隔、ボールも日本を見習ってみては?
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