仕事

東大→東大院→研究職に就くも“月収20万円以下”43歳男性の苦悩「大学入学当初は、氷河期世代の中で自分は勝ち抜いたんだと…」

バイトに降格で月収9万ダウン

[氷河期貧困]の実態

中嶋春樹さん(仮名・43歳)。最終学歴は東京大学博士課程修了。月収の大半は借金返済や社会保険料の納付に消える

「報酬は一本8000円いけばいいほうでした。将来を不安に思った当時の彼女に『正社員になる気がないなら別れて』と言われ、慌てて専門外の人材会社に就職しましたが、社長が専横的な絵に描いたようなブラック企業。給料はどんなに頑張っても上がらない。結局、彼女にも逃げられちゃいましたね」 やがて39歳で大学の非常勤講師の仕事が決まるも……。 「副業禁止として正社員からアルバイトに降格。業務は同じなのに給与は手取り25万円から16万円にダウン。非常勤講師の給与を合わせても月収は20万円を切りました」 消費者金融を頼るようになり、借金はいつの間にか100万円近くまで膨らんだ。さらに昨年末、会社の業績悪化で解雇されてしまう。 「今は非常勤講師を月1コマ、町中華店と日雇い労働の3つを掛け持ちしてやっと年収360万。バイト先では高学歴は悪目立ちするし、すべてが裏目に出てる気がしてなりません。土日もほぼ徹夜で働いて、ここ3か月は休日なしですよ。40代になって体にガタも感じているので、働けるうちに働いていないと落ち着かないんです」

外国人から1000円札をむしり取る

「とにかく自分は報われない気持ちが強い」と語る中嶋さん。今では「何かつけ入る隙があれば、誰でもいいからむしり取りたい」というマインドに入ったとか……。 「最近も、雨の日の渋谷駅で外国人が自分を巻き込んで転倒したので、英語で『クリーニング代を払え!』と迫ったんです。最初は笑って謝っていましたが、僕が鬼気迫る表情だったからか1000円札をくれたんです。嬉しかったですね」 みながうらやむ“神童”だった中嶋さん、こんな彼の“未来”を誰が予想できただろう。
[氷河期貧困]の実態

この1000円札は「外国人から奪った“収穫”」

取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/神林ゆう ※4月15日発売の週刊SPA!特集「[氷河期貧困]の実態」より
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週刊SPA!4/22・29合併号(4/15発売)

表紙の人/斉藤里奈

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