更新日:2025年05月01日 11:37
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日本にとってウクライナ侵攻は他人事ではない! 高校チュータイ外交官が警鐘

 一向にロシアによるウクライナ侵攻の終結に向けた交渉が進まない。この現状に、アメリカのトランプ大統領も不満が隠せないようで、プーチン大統領やゼレンスキー大統領に対して批判を強めている。  さらに、ロシア軍に参加し、中国人捕虜2人拘束されるなど、戦火はいろんな場所に飛び火している。  ロシアのウクライナ侵攻が始まって約3年。本当に停戦に向かうことができるのか? 
『13歳からの国際情勢』

『13歳からの国際情勢』島根玲子(著)

 高校チュータイ外交官として知られ、『13歳からの国際情勢』を上梓した島根玲子氏に、その現状を分析してもらった。 (本記事は、『13歳からの国際情勢』より一部を抜粋し、再編集しています)

ロシアによるウクライナ侵略は、本当に終わるのか?

 ロシアがウクライナへの侵略を開始してから3年が経ち、ようやく停戦に向けた動きが出てきた。  これまでの戦争で、ウクライナは領土の2割を占領され、4万人以上が犠牲となった。攻め込んだロシアも無傷ではない。欧米から供与された最新鋭の兵器を持つウクライナ軍に対抗するため、ロシアはとにかく兵士をたくさん突っ込んだ。  その結果、人の命を軽く考える戦い方により、ロシア側の戦死者はウクライナ側よりも圧倒的に多くなっているとみられる。 「正確な数はわかりませんが、9万人超、または20万人という分析もあります。さらには1万人の北朝鮮兵士が前線に送り込まれ、半数に近い約4000人が死傷したといわれています」(以下、すべて島根氏)  このように苛烈(かれつ)を極めたウクライナ侵略に、ようやく停戦の動きが出始めましたが、はたして、ウクライナに平和は訪れるのか。また、ウクライナ侵略は日本にどのような影響をもたらすのか。  そもそもロシアはなぜウクライナに侵攻したのか。  島根氏によるとキーポイントは、「不凍港」と「NATOの拡大阻止」だという。ウクライナやロシアの未来を占うため、そもそもから島根氏に振り返ってもらった。

そもそもロシアって、どのような国なのか?

ロシアの地図

※写真はイメージです(以下同)

 ロシアという国の基本を島根氏に教えてもらおう。 「ロシアは世界で一番広い国で、日本の45倍もの面積を持ちます。14もの国と国境を接する国土は東西に大きく広がり、ロシアの端と端では10時間もの時差があります。人口も1億4600万人と多く、国の規模が大きいことがよくわかります。  ただ、ロシアという国は多民族国家です。国民の7割はロシア人ですが、他は200近い数の民族で構成されています。  ロシアの正式名称は「ロシア連邦」といい、ロシアだけでなく、83の共和国と州が一緒になっている国です。共和国には一定の自治が認められていて、『自分たちの共和国のことは自分たちで決めていいよ』ということになっています。  チェチェンなどイスラム教の共和国もあれば、世界最低気温(氷点下71度!)を記録したサハ共和国というのもあります。これだけ見ても、ロシアという国が実に多様なことがわかります」
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ロシアもウクライナも元を辿れば同じ民族の国
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1984年埼玉県生まれ。高校時代に2度の留年と2度の中退を経験。一念発起して大検を取得後、青山学院大学文学部に進学。早稲田大学法科大学院を経て、2010年に司法試験および国家公務員Ⅰ種試験に合格。2011年に外務省入省後、スペイン駐在を経て、中南米外交やアジア外交に携わる。外交官として働く傍ら、国際情勢やキャリア設計についての講演活動も行う。著書に『高校チュータイ外交官のイチからわかる! 国際情勢』がある。
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