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9月19日に円売り介入をやる理由とやらない理由

日銀 今週は久しぶりに77円台へドル安・円高となりました。すると、財務大臣も円売り介入の可能性を示唆する発言でけん制しました。私は、この円高は持続的にはならないと思っているので、介入はやらないと思いますが、もし持続的な円高になって介入をやるなら最短シナリオは9月19日でしょう。

◆円高阻止介入を見分ける「シグナル」

吉田 恒

吉田 恒氏

 日本政府は2010-2011年に主に4回円売り介入を行いました。この4回の介入にほぼ共通した「前兆」を今回は2つ紹介したいと思います。

 一つは、「介入をやる前には、必ず日銀による追加緩和があった」ということです。理由はともかく、事実としては「緩和なくして介入なし」だったわけです。

 さて、日銀は18-19日に金融政策会合を行います。介入をやるなら、前提条件としての追加緩和が必要のようですから、19日の追加緩和決定を受けて、円売り介入実施の最短シナリオはその日ということになるでしょう。

 もう一つの介入の前兆は「円が買われ過ぎになる」ということでした。例えば、為替ポジションの統計で、CFTCという米商品先物取引委員会というところが集計している統計がありますが、これで見ると、過去4回の円売り介入の前には、円の買い越しが5万枚前後といった「買われ過ぎ」領域に達していたのです。

 政府の介入といっても、為替市場の膨大な取引のなかでは「大海の一滴」に過ぎない面は否めません。そこで効果的な介入を目指すなら、為替市場がドル売り・円買いに傾斜し、さらなるドル売り・円買いの余力が限られ、むしろドル買い戻しに転じる必要が出ているタイミングを狙うというのが介入でも意識されてきたようです。

 さてその円の買い越し、9月4日現在では2.4万枚まで拡大していました。その後の円高進行で、この買い越しが4万枚を超え、円が買われ過ぎ気味になっているようなら、カウンターアタックとしての円売り介入出動の条件は揃ってくるでしょう。

 上述のように、昨年までの2年間で4回の円売り介入が行われましたが、そのうち9月の介入は2010年の一度だけでした。そしてこの2010年9月の介入は15日に行われたのです。これは、9月中間期末を配慮し、月末に近づく前に介入を急いだとの噂がありましたが、それも考慮すると、これまでの条件が揃えば、すぐにも介入となるのではないでしょうか。

◆米金利上昇で介入が必要な円高にはならない?!

 ただこれだけ述べてきた割に、個人的には介入はやらないのではないかと考えています。それは介入が必要な円高は続かないと考えているからです。

 ドル/円は米金利と相関性が高いことで知られています。その米金利のなかでも長期金利の指標銘柄である米10年金利は、<資料>のように、春以降、欧州不安を象徴するスペイン10年金利と逆相関関係が続いてきました。

⇒<資料>拡大画像はコチラ
http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=291667

国債 そのスペイン金利は、欧州不安の後退を受けて急ピッチで低下しています。これまでの関係が変わらなければ米金利もさらに大幅に上昇する見通しになるわけです。そうであれば、ドル円も介入が必要なドル安・円高とはならないのではないでしょうか。(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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