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W杯日本代表に対する「手のひら返し現象」はなぜ巻き起こってしまうのか

日本代表に対する“手のひら返し”はなぜ起こるのか

サッカーW杯 日本代表 サポーター

写真はイメージ

 日本時間12月5日の深夜から行われた、サッカーワールドカップ日本VSクロアチア戦にて、PK戦の末に敗北し、ベスト16という結果で大会を去ることとなった日本代表。大会前は、優勝経験のあるスペイン・ドイツという強豪国と同組となったことで、「グループリーグ突破は不可能」といったネガティブなコメントがSNS上で多く見られた。  しかし初戦となったドイツ戦に勝利したことで、手のひら返しの大絶賛でお祭り状態に。その後、格下のコスタリカ戦に敗北したことで「戦犯探し」というワードがトレンド入りするなど、批判が相次いだが、再び大金星となるスペイン戦に勝利。グループステージを首位で突破して再び大絶賛の嵐となった。日本代表の試合が行われる度に、SNS上ではわかりやすいほどの「手のひら返し」が続いたことも、今大会を象徴する1つの出来事といえる。  SNSにおける「手のひら返し現象」は、なぜここまで巻き起こってしまうのだろうか。その心理について、精神科医の春日武彦氏に話を伺った。

「タイムパフォーマンスの良さ」を実感したいのも要因

 このような風潮となってしまう要因について春日氏は、現代の日本人には「タイムパフォーマンスの良さを実感したがっている傾向にある」と語った。 「近頃では、どうやら娯楽に対する人々の姿勢が変わってきたような気がします。たとえば映画を早送りで観る人が増えているようで。表現の細部を味わったり、奥行きを読み取って楽しむような『かったるい』ことはしない。より多くのコンテンツを次々に消費して『タイムパフォーマンスが良い』と実感したほうが安心感を覚えられます。つまり一貫性よりも、派手で分かりやすい断片を重視するわけです。  サッカーについても、ファンの立場としての一貫性を堅持するなんて『かったるい』こと。それよりは、よりドラマチックで盛り上がるほうに与したほうが『タイパが良い』。すなわち、手のひら返しをしながらサッカーという娯楽を消費していく。そのほうが美味しい断片を味わい尽くせる。そういうことなのではないかと思います。特にSNSだと、心理的により無責任かつ付和雷同のほうに傾きやすいので、それも関係しているのでしょう」
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落胆に対する手のひら返しが起こってしまう理由
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