全身ユ○クロを着た記者、海老蔵事件ビルの高級会員制キャバに初潜入。そこで受けた“洗礼”
本誌7/19号の「六本木・西麻布浄化作戦の裏事情」で、海老蔵事件の舞台となった「Bビル」の会員制高級キャバクラの様子を伝えた。このような高級キャバクラは実業家や芸能人のたまり場になっており、モデルやタレントなどが、彼らとの「人脈作り」のためにホステスとして働いているという。
そんな「セレブの空間」に「セレブでない格好の一般人」はどういう扱いを受けるのか? そこでホステスと「人脈」は作れるのか?
一見さんは入店不可というので、この界隈の会員制キャバクラのほとんどで会員で、かつてホステスのモデルを「3か月間面倒を見ていた」という、A氏にアテンドをお願いした。
早速、A氏が店に電話をすると、電話口で会員番号とフルネームをしつこく聞かれ、しかも「満員だ」と言われ、やんわりと断わられている雰囲気が口調から伝わってくる。会員が同伴といえ一見を入れたくないのだろうか? 交渉10分、なんとか予約が通る。しかし入店の10分前に「確認の電話」を入れさせられる徹底ぶり。A氏も「ここまで警戒されるとは……。会員のステータスはズタボロですよね」といささか寂しげだ。
いざ「Bビル」へ。店の前には黒塗りのクルマが止まっている。それにたじろぎつつ、記者はブランドのジャケットを羽織ったA氏に疑問をぶつけた。
記者 「全身ユ○クロで来ちゃったんですけど、大丈夫ですかね?」
A氏 「いやぁ、店は暗いし、言わなきゃ分かんない。こういうところはとにかく堂々としてればいいんですよ!」
そう言われたものの、記者は金色で大袈裟すぎるビジュアルの中国製の腕時計を外した。
「Bビル」の階段を上がり、店のエントランスへ。重厚な金属製のドアとその横には、指紋認証と暗証番号を入れるボックスがしつらえてある。A氏は暗証番号を無視し、店に電話を入れるとドアが開いた。すると5人の黒服が一斉に出迎える。彼らの刺すような視線にポロシャツの胸に汗ジミが浮かぶ。
席につき、黒服に手渡されたおしぼりで顔面を拭きながら、辺りを見回す。明らかに業界人と思えるような日焼けした男性、胸元を大きく開けたYシャツ姿の御仁は、記者と同じくポロシャツ姿がいて一瞬ホッとしたが、その胸には高級ブランドのマークが浮かんでいた。
「こんばんわ、B子です。よろしくお願いします」記者の横に女のコがやってきた。B子はスラリとしたモデル系で、顔立ちはハーフのよう。A氏とは顔馴染みのようで、「今日は大事なお客さんを連れてきたからよろしく頼むよ」と念を押すA氏にニッコリと微笑むと、記者には質問を浴びせてきた。
B子「Aさんのお仕事関係ということは、芸能系ですか?」
記者「あ……まぁ、そんなトコかな」
B子「Aさんはスーツなのに、カジュアルなんですね」
記者「暑いからねぇ。クールビズだよ、ハハハ」
「これ可愛い色ですよね~、爽やかだし」などと言いながらさりげなくポロシャツの袖口を触ってくるB子。「アパレルの仕事してたこともあるから、服好きなんですよ~」と屈託ない。さらには「西麻布はどこで飲むんですか~」と聞いてくる。
(新宿の立ち飲み屋しか行かねぇよ!)と即答したいところをグッと堪え、「西麻布はあんまりこないからね。銀座が中心かな、落ち着いてるし」と話題を逸らす。
「へぇ!銀座で……すごいですね~」(当然記者も知らないが)B子は銀座はまったく知らないようで「演歌歌手とか、企業の社長さんとかいそうですね」と呟く。そこで記者は思いきって聞いてみた。
記者「ここ、有名人とか来るの?」
B子「奥のVIPルームにはよく来ますよ~! ほら最近……」
するとB子の口からは、世間を騒がせたIT社長、関西の大物芸人、元祖アイドル、大手事務所の若手アイドルグループから、繁華街で頻繁に写真を撮られていた元4番打者……屈託のない笑顔で恐ろしいことをさらりと言ってのける。
B子が他のテーブルに呼ばれた隙に、黒服を呼び、料金を確認。きっちり1時間でお勘定をする。「3万3000円」という伝票に目を通し、この日のために下ろしておいた1万円札6枚のうち4枚を抜き取って手渡した。
おつりの入った小さな封筒をそのままポケットにねじこみ、立ち上がると、B子が戻ってきて出口までお見送りしてくれた。並んで歩くとB子のほうが背が高い。閉口する記者。
帰り際、おつりを財布にしまおうと、ポケットに入れていた封筒を開けると1000円札が2枚……。あるはずの5000円がなぜか消えていた。これは”洗礼”であろうと自分を納得させ、家路についた。
取材・文/ユ○クロ記者
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