スカイツリーの影響!? 1年で周辺地域の治安が悪化
開業1年で「国民の3分の1が訪れた」と喧伝される東京新名所。しかし、そのお膝元を歩くと、ツリーの高さに比例するように、光と影も色濃く出てきていることがわかった……
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「みんな長年営んだ店を畳んで、土地を売っちゃうんだもん。新しい人が入ってくるのを期待しているけど、知らない人が増えるのはちょっとね……」(玉の井の住民)
そんな不安を裏付けるように、周辺の治安は悪化している。同エリアを管轄する本所警察署の犯罪発生状況を見ると、刑法犯認知状況の統計(’11、’12年)では、他のエリアが減少しているにもかかわらず、吾妻橋・向島は横ばい。押上は’11年の101件から’12年の141件と増加。乗物盗認知状況でも押上だけが10件→43件と増加が著しい。さらには、週末には派手なバイクに跨がり爆音をたてる連中が“招かざる客”となる。
商店街や不動産業界の“泣きっ面”とは逆に、“恵比寿顔”な人たちもいる。ツリー周辺を走る国道6号や明治通り沿いに店を構えるガソリンスタンドは、どこも「売り上げ増」。印象的なのは、大きな道から外れた路地裏で細々と営む給油所店主の言葉だった。
「開業後に売り上げが1割弱上がったね。並ばずに給油したい客がカーナビや携帯電話で調べて訪れる。名古屋や宮城といった他県ナンバーをよく見かけるね」
クルマで新名所を訪れる客に向けた商売は好調のようだ。押上で「満車」のサインを灯すコインパーキングの運営会社は、「開業前は工事関係者、開業後は来場客で土日は満車が続き、平均2割の需要増。利用者は3、4時間の駐車が多く、ツリー観光の人がほとんどです」と笑顔を見せる。
前出の給油所と同じく「ネットで調べて訪れる客が増えた」という曳舟駅近くの和食店の店主は、一見客の急増に頭を悩ませる。
「地元の常連客の席がなくなっちゃうから一見さんはお断りしてる。さっきもグループ客に『ごめんなさい』と言ったところ。ネット見て来る人は一回しか来ないから」
最後はスカイツリー開業前から賑わう周辺の繁華街を歩いてみた。
「ツアーの団体客ばかり増えるけど、あまりカネを落とさないね」(土産店)といった声も上がる浅草。人力車の引き手たちは「開業前は、ツリーを間近で見たい客から浅草~ツリー間の往復を頼まれたけど、いまは片道。帰りは“回送”ばかり」と苦笑いする。
一方でツリーへの乗換駅、錦糸町周辺に点在するラブホテルは客で溢れているという。「夕方の明るい時間帯の客が増えましたね。昼間、スカイツリーなどを歩いて、その流れでご休憩されるカップルが多いですね」(従業員)。
テレビ電波の送波も始まり、さらなる注目を集めることとなったスカイツリー。良くも悪くも新シンボルから目が離せない。
◆スカイツリー周辺のアゲサゲ度
⇒【画像】スカイツリー周辺の勢力図 https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=452776
【地元商店街】(↓)
ソラマチに客が完全に流れた形に。「地元の人も行くから、イオンよりも脅威かも」との声も
【飲食店】(↓)
ソラマチ開業前は飲食店不足で周辺の店舗も潤ったが、開業後は軒並みダウン。閉店も続出
【コインパーキング】(↑)
スカイツリー足元にある駐車場の土日はほぼ満車。平日も「多少の空きが見られる」程度
【ガソリンスタンド】(↑)
国道沿いの店舗も路地裏の小さな店も売り上げ増。ネットで調べてくる客の増加が顕著だとか
【治安】(↓)
スカイツリー近辺で発生する駐車違反やトラブルの件数が増加。ひったくりや万引も増加
【不動産】(↓)
飲食を中心に店舗物件が人気高も、賃貸・分譲とも期待ほど上昇せず開業前の相場に…
【交通アクセス】(↑)
公共交通のネットワークが拡充。東武鉄道は観光客向け列車も走らせ、地元活性化に貢献
取材・文・撮影/SPA!下町っく好感度委員会
― 東京スカイツリー、1周年の泣き笑い【2】 ―
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