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NISA制度では儲からない本当の理由

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その12 ―


NISA, 株投資

小額投資非課税制度として鳴り物入りでスタートしたNISAだが……

 みなさんNISAと書いてニーサと読む、株の新しい投資制度をご存知ですか。今年から始まった、小額投資非課税制度というもので、最高100万円までの株や投資信託などの運用益や配当の利益に税金がかからないシステムです。

 そもそも今年から、株投資などの取引で儲けた人の利益に対する税金が約1割から約2割に引き上げられたので、その見返りの意味合いとして作られたのです。

 ターゲットはずばり株初心者、彼らに100万円までの投資なら、なんぼ儲けても税金はナシにしてやるからと、うまいことを言って、口座数を増やしてるのです。

 現在NISAの口座数は500万件とも言われ、年内に700万件を突破すると予測されています。1人100万円の投資なら7兆円ですよ。NISAは毎年非課税枠を100万円ずつ増やしていけるので、最高500万円まで非課税の恩恵を受けられます。それで、もし1000万人が口座を作ってみなさい、50兆円もの巨額のお金がNISAに流れ込む計算になります。

 日本の眠っている金融資産が1600兆円あると言われており、そのお金をわずかな定期預金の利子で増やすよりは、株でもやって増やせという、まさに国策事業です。一般市民が投資に関心を寄せるとも言われていますが、NISAにはいろいろ問題があり、制度を変えるべきという考えの人が増えてきました。どういう状況なのか説明します。

◆NISA口座で含み損を抱える人が多数

 まず今年の取引ですが、昨年末から申し込んでいたNISAに、新年早々、お金を口座に入れるとしますね。まずは最大100万円で投資信託や東証の優良銘柄を買おうかなと考えます。そこで企業を調べるからと、決算書なんて取り寄せる人は、ほんと稀でしょう。おそらく雰囲気で無難にトヨタあたり買っておけば大丈夫だろうと考えるはずです。

 人間の心理としては、口座にお金を入れたら、早速何か株を買ってみたくなるはず。1月に安心して買ったトヨタを筆頭とする東証1部の優良銘柄は、なんと2月の大暴落で、1割から2割目減りしたのです。

 現在、株価はやや持ち直しましたが、NISA口座のほとんどのお客さんは、含み損を抱えている気がします。

 正解の投資時期は日経平均が1万3000円台まで落ちた、4月中旬だったのですね。そんなことは結果論だから言えるわけで、だったら今から買い直せばいいじゃないですか。いえいえ、NISAはあくまで100万円の投資の枠内が非課税なので、もし1月にトヨタを6200円(総額62万円)で買っていたら、残り38万円で別の株を買うしかないのです。

 NISAの何がしんどいかって、100万円のお金を口座に入れると、無税としての取引可能額は現物の100万円のみなのです。従来の株取引は回転売買と言って、100万円分の株を買って、それを失敗して95万円で売れば、また95万円から、別の買い物ができた。NISAはその再利用が非課税としてはできないわけです。

 つまり100万円で、年に1回か2回のチャンスを的中させて、それで利益確定を狙うってトップディーラーですら、困難なことを全くのビギナーに強いているのです。今年前半の買いのタイミングが4月中旬と言いましたが、大きな流れではわかりませんよ。今後の日経平均は、3万円越えというアナリストもいれば、1万円割れという人もいます。プロすら判断が分かれるのに、素人が的確な判断が出来るわけがありません。

 しかも株価は、外的要因でかなり左右されます。幾ら日本経済が頑張ったところで、リーマンショックが起きればあのザマだし、ウクライナ情勢で、今後いかようにも変化するのです。

 個人投資家が含み損を抱えている現在ですが、大手企業側は安定した株の引き受け先が見つかってひと安心していることでしょう。しかも、将来は総額50兆円ほど。仕方ないので各企業の優待券とかもらって、カラオケに行ったり、ギフトセットを貰って、家族団らんするとか、そういうことで気長に待つしかありません。

 桐谷さんというおじさんが、株の優待券のみで生活してて、最近はマツコ・デラックスの番組に出てブレイク中なんですが、そういうことを目指すのかなと。

木村和久

木村和久

 結局、ビギナー向けのNISAとはいえ、あまりにも打つ手が少ないのです。どうせ負けるなら、何かいろいろ動いてみて、納得して負けたい。今後回転売買ありにするとか、100万円で約3倍の300万円投資ができる信用取引にするとか、何かしら制度改革をしていかないと。それをやると負ける人はますます負けるって言うかもしれないが、そもそも株で勝つ人って、全体の1割程度なんですから。

 なんだよ、え~そんなに儲からないのか、そこを早く言ってよね~。

■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦

トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』


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