倒錯したオナニーは生きづらさの象徴
「女のオナニー」が多くの読者諸兄にとって興奮必至のトピックスであることは想像に難くないが、それが近年、度肝を抜く方向に進化してきているらしい。彼女たちは何故エスカレートしていくのか? 産婦人科医・赤枝六本木診療所院長の赤枝恒雄氏に話を聞いた
◆女性たちが妙なオナニーに走るのは男性にも責任がある
総じて所得の少ない傾向の現代は、恋愛のしにくい時代です。男性はお金がないからデートに誘えないし、女性も誘ってもらえない。その結果、男性も女性もオナニーをする人が増えているように感じます。夢や希望が持ちづらい世の中で、自分の生活も決してラクではない。そんな背景から自分の世界に入り込み、手軽に味わえる快楽としてオナニーを妄信する。日常生活の空虚感を、自分の体に刺激を与えることで補っているのです。
オナニーはカラダにいい。これは私の持論です。ただし、やりすぎるのはよくない。回数だけの問題でなく、オナニーを追求すること自体に問題がある、と私は考えます。例えば、バイブやローターなどのアダルトグッズの常用。振動に慣れてしまうと、男性とのSEXが味気なくなり、その結果、オナニーに走ってしまう。負の循環の行き着く果ては、狂気じみた自慰行為です。行きすぎたオナニーは、心身ともに消耗させ気力をそいでしまいます。
そして、オナニーがエスカレートしていく延長上には、自傷行為が存在します。診療所にも、首を傾げてしまう患者が訪れます。ミカンやバナナなどをアソコに入れるのは序の口。急須のフタや電球がアソコから取れなくなったというケースもありました。アソコに異物を入れると、肉体的な充実感が伴うのは事実です。だからといって「何でも入れてやる」という考えに至るのは大いに問題です。
“クリピー(クリトリスにピアスすること)”や性器の近くにタトゥーを入れている女性も増えていますが、これもオナニーの発展型である自傷行為と言えます。その行為に対して多くの女性が、罪悪感を持っていないことも問題です。
さらに、男性諸氏にも言いたい。女性たちが妙なオナニーに走るのは男性にも責任がある、と。AVを妄信した自己中心的なSEXをやめ、カラダとカラダ、心と心で愛し合うSEXを心がけてください。そうすることでオナニーに傾倒する女性たちが少なくなると私は信じたいです。
【赤枝恒雄氏】
産婦人科医・赤枝六本木診療所院長。女性の保健や性の知識を普及するべく精力的に活動
http://www.akaeda.com
取材・文/SPA!女の下半身問題研究班
― [女のオナニー]が進化しすぎてエライことに!!【7】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ