大仁田厚に憧れて――WWEも評価する“弾丸戦士”田中将斗がZERO1に止まる理由【最強レスラー数珠つなぎvol.8】
「最強レスラー数珠つなぎ」――毎回のインタビューの最後に、自分以外で最強だと思うレスラーを指名してもらい、次はそのレスラーにインタビューをする。プロレスとはなにか。強さとはなにか。この連載を通して探っていきたい。
3月2日、ZERO1後楽園ホール大会。平日ということもあり、客足はまばらでどこか盛り上がりに欠けていた。しかしその男が竹刀を片手に現われるやいなや、会場の空気が一変した。男がリングの内外を縦横無尽に暴れ回ると、かつての超満員の歓声が蘇った。まるで魔法のようだった。「リングの中ももちろんですけど、場外とか道具を使ったりとか、たぶんどのルールでも超一流。世界でも稀な選手だと思います」――前回、鈴木秀樹は田中将斗をこう評したが、全くその通りだと思った。
先月、WWEが発表した『The 100 best matches to see before you die』(死ぬまでに観たほうがいい100の試合)ランキングで、「Heat Wave 1998」の対マイク・オーサム戦が41位に選ばれた。ECW世界ヘビー級王座にも輝いた田中のキャッチフレーズ“弾丸”は、世界の“Dangan”として今なお語り継がれている。
1993年にFMWに入門し、今年でプロレスデビュー24年目。世界のどの団体でもトップに立てる実力を持ちながら、田中将斗はなぜZERO1に止まるのだろうか。
【vol.8 田中将斗】
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――FMWに入門したきっかけはなんですか。
田中将斗(以下、田中):小さい頃からずっとプロレスが好きで、新日本プロレスや全日本プロレスが地元の和歌山県で興行をすると、必ず観に行っていたんですけど。あるときFMWが来ることになって、どういうものか一度観てみたいと思って行ったんです。新日本とか全日本は、柵があるじゃないですか。FMWには柵がなくて、ストリートファイト形式の試合に引き込まれたんですよね。そこからは、いまで言う大仁田信者みたいな感じです。大仁田さんの試合後は、お客さんがリングサイドで水を噴かれるシーンがいまもあるんですけど、僕も25年くらい前かな、水を噴かれて喜んでいた人間でした。
――自分もプロレスラーになって、やってみたいと思った?
田中:将来プロレスラーになりたいというのはずっと思っていたんですよ。中学校の進路指導のときに、「プロレスラーになりたい」と言って。でも高校を出てからでも遅くないんじゃないかということで、仕方なく高校に進学しました。そこの高校はラグビー部が強くて、僕、中学校を卒業した時点で、いまより体重が重くて110kgくらいあったんですよ。合格発表のときにラグビー部の人に勧誘されて、レスリングか柔道をやろうと思っていたので断ったんですけど、入学して新学期が始まった日にその人がクラスまで呼びにきて、学生服のままボールを持たされて(笑)。その流れでラグビー部に入って、オール和歌山の選抜にも選ばれました。
田中:卒業後はラグビーの強い会社に就職したんですけど、僕が入った社会人チームはそのときリーグ外だったんですね。優勝すれば入れ替え戦ができたんですが、そこで負けたんです。またリーグ外で一年やるんだったら、若い内にプロレスラーに挑戦したいなと思って、次の日には「プロレスラーになるので辞めます」と言って退社しました。それから一年くらい、体をイチから鍛えながら、雑誌でプロレスラーの練習生募集を探す日々。FMWが募集するのを待って、一年後にようやく申し込みました。
――入門テストはいかがでしたか。
田中:僕はテストを受けていないんですよ。身長もサバを読んで(笑)。FMWもその頃は一大ブームがあって人気だったんですけど、新弟子があまりいなかったので。面接でターザン後藤さんに、「とりあえず人が少ないから入門させるけど、ついてこられなかったらクビにする可能性もある」と言われました。雑誌とか見ていると、プロレスラーはスクワット千回やるとか書いてあるんですよね。それくらいの練習はしておいたので、入門してからも、スクワットも腕立ても腹筋も問題なく出来ました。プロレスラーになると言って田舎から出てきているので、レスラーになるまでは辞められないという意地がありましたね。
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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■ZERO1すしざんまいプレゼンツ「奉納プロレス 第14回大和神州 ちから祭り」
https://www.z-1.co.jp/event/detail_20170326.html#id103
【開催日】2017年3月26日(日)
【開場時間】12時00分
【開始時間】13時00分
【会場】靖国神社 相撲場
■ZERO1プロレスリングZERO1 新木場大会 新生ZERO1 ドリーム・シリーズ ~誕生の陣~ 天下一Jrリーグ戦 開幕戦
https://www.z-1.co.jp/event/detail_20170404.html#id132
【開催日】2017年4月4日(火)
【開場時間】18時30分
【開始時間】19時00分
【会場】新木場1st リング
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