自信を失ったときに「勝って見返そう」と思ってはいけない<魂が燃えるビジネス>
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるビジネス」とは何か? そのヒントをつづる連載第45回
誰でも自信を失う瞬間はやってきます。誰かに負けたとき、得意分野で格の違いを見せつけられたとき、試験に落ちたとき、望んだ結果が得られないとき。決してそんなことはないと頭ではわかっていても、「私は世界で一番無能なのではないか」と自分で自分を見下します。
こうした状態から抜け出すために、私たちは「見返そう」と考えます。負けたから勝とうとする。試験に落ちたから受かろうとする。わかりやすいかもしれませんが、こうした思考は自信を取り戻す瞬間を、未来に先送りにしてしまいます。
強烈な反骨心が湧き上がってくるのなら、それもいいかもしれません。しかし、反骨心が生まれるのは、そもそも「自分ならやれるはずだ」という自信がまだ残っているからです。それが通用するのもある程度までで、「自分に自信がない」というレベルまで落ち込んでしまうと、そもそも目標達成に必要な過程を辿ることができません。
そんな二進も三進も行かない八方塞がりの状態こそ、自己啓発の出番です。他人との比較で失われた自信は、自分を見つめ直すことで取り戻せます。
見つめ直すといっても、いきなり特別な出来事を思い出す必要はありません。勝利や栄光を思い出そうとするのは、敗北や挫折を引きずっている証拠です。そうではなくて、日常生活の様々な印象に焦点を当てましょう。
明治神宮の拝殿の脇に、「夫婦楠」という二本の楠木があります。縁結びのご利益があるとされ、有名なパワースポットです。この夫婦楠は枝葉がまるで一本の樹木に見えるように刈り込まれています。しかし、その幹は一本ずつ大地に根を下ろしています。これは夫婦が「一つ」ではなく、二つが結ばれている「一緒」であることを示しています。
もっともらしい話に聞こえるかもしれませんが、これは夫婦楠を見た時に感じた私の印象です。しかし夫婦間の問題について、ご相談に受けた際にお話しすると、とても納得して頂けます。夫婦間の問題は、自分たちを一つだと思ったり、相手を自分の所有物だと思ったりすることから始まるからです。だから「夫婦といっても別々の人間であること」を喚起させる夫婦楠は共感を引き起こします。共感が起これば、それまでの考えが改まり、行動や関係も変化します。
日常生活で下される判断の根拠は、ほとんどが仮説です。再現性や客観性が重視される科学の世界ですら定説が覆されるのに、それよりも遥かに雑多な私たちの生活で、あらかじめ正解がわかるはずもありません。私達が必要としているのは、「間違いのない選択」ではなく「悔いのない選択」です。そして、それは理屈そのものではなく、そこに宿る信念に基づいています。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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