生ビールの「生」って何? 泡の量で店の利益が変わる!? ビールのうんちく集
― 30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン第4回 ―
みなさん大好き、麦ベースの醸造酒「ビール」に関しては、うんちくがたくさんあります。今回は、そのうんちくのレア度や正確度を整理してみましょう。
定番ネタでは「生ビール」。この「生」というのは、ビールの酵母を加熱処理せず、生きたままになっていますよ、という意味です。決して、ビールサーバーからジョッキに注がれているからではありません。サーバーから注ぐビールも瓶ビールも中身は全く一緒です。瓶ビールの味が一段落ちるように思い込んでいるかもしれませんが、機会があれば同じシチュエーションで飲んでみてください。
加熱処理をしていたのは、昔は濾過技術が発達しておらず、瓶の中に大量の酵母が生きたまま混入するのを防ぐためです。生きた酵母が混入すると、品質が時間とともに変化してしまい、メーカーとしてクオリティをコントロールできなくなるためです。しかし、現在は濾過技術が発達し、加熱しなくても酵母をほぼ除去できるようになりました。そのため非加熱が主流となったのです。とはいえ、このあたりのうんちくはあまり味に関係ないので、盛り上がらないかもしれませんね。
加熱処理は手間がかかりますし、ビールの酸化が進むという意見もあります。しかし、筆者はそれも本物の味のうちだと思います。キリンラガーは加熱処理をしていたのですが、ブランド名をそのままに1996年に非加熱化に舵を切りました。それが大不評を買い、それまでトップブランドだったキリンラガーは、翌年にアサヒスーパードライに逆転されてしまうのです。そして、2001年に加熱処理を施したキリンクラシックラガーを復刻しましたね。この辺の物語は、ビジネスマンの酒席の熱いトークにピッタリではないでしょうか。ちなみに、ほかにはアサヒスタウトやサッポロラガービールも加熱タイプです。
ビールの材料は、麦芽とホップ、水、酵母が基本です。副材料としてコメやコーンなどのほか、風味付けとしてフルーツやハーブなどを使うこともあります。もし、ドイツのビールを飲んでいるなら一発ネタがあります。ドイツの「ビール純粋令」です。
1516年にバイエルン公ヴィルヘルム4世が定めた法律で、ビールには麦芽とホップ、水、酵母しか使ってはならないというものです。そのため、ドイツビールは力強く、濃く、王道の味わいで人気を集めています。ちなみにこれは、世界最古の食品に関する法律と言われており、現在でも形を変えて生き残っています。とはいえ、現在ドイツから輸出されるビールは対象外なので、日本で飲んでいるドイツビールについて言及するなら確認が必要です。
「アメリカのビールは薄いんだよ!」というのもよく聞くうんちく。アメリカだけでなく、世界のトップシェアにも食い込んでいるライトラガーというタイプは確かに薄味です。とはいえ、アメリカでもクラフトビールブームが起きており、濃厚で華やかでおいしいビールもたくさん作られています。見栄を張るなら、「家賃の超高いニューヨークの町中にマイクロブルワリー(小規模なビール醸造所)があって、昼間から人だかりだよ。出来たては薄いどころか華やかで超うまいよ!」くらい言ってみましょう。実際にとても美味しいです。惜しむらくは日本に輸入すると関税などで高くなってしまうところですね。
間違って覚えてる!?「ビールのうんちく」をおさらい
ドイツやアメリカのビールのうんちくといえば……
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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