更新日:2022年12月30日 10:15
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気温&湿度が上がる6月は「心筋梗塞」に注意…死亡率50%の恐怖

梅雨を迎え、いよいよ本格的に夏に突入していこうとする6月。気温と湿度が高まるこの時期は、細菌やウイルスの増殖、あるいは精神の変調によって、多くの“ヤバイ病気”がはびこるタイミングでもあったのだ。命をおびやかす病の正体を追った! 6月に急増[死に至る病]

発症後24時間以内 に死亡率50%に到達する恐怖の病

「急に激しい胸の痛みに襲われ、救急車で運ばれました。体の中身が全部飛び出しそうなくらい激しい嘔吐を繰り返して死ぬより辛かったのを覚えています」  そう当時の状況を語るのは心筋梗塞を2年前に罹患した田中信二さん(仮名・32歳)。気温と湿度が上がると体内の水分が減少し、血液はドロドロになる。結果、「血管がダメージを受けて硬くなるとともに詰まりやすくなり、心筋梗塞を引き起こします」とは、循環器内科医の杉薫氏だ。さらに杉氏は、心筋梗塞の本当の怖さは「発症していることに気づきにくい」ことであると語る。 「表れる異変が『奥歯に痛みを感じる』や『冷や汗が止まらない』など、心臓の疾患だと認識しづらいものが多いんです。しかし心筋梗塞は、発症後すぐに適切な処置をしなければ24時間以内に50%の人が死に至るといわれる病。気づくか否かが生死を分けます」
6月に急増[死に至る病]

60代男性が急性心筋梗塞を発症する前と後の冠動脈を比較したレントゲン写真。正常時は血管がつながっていて血流がくっきり流れていることがわかる一方、異常時は血管が途中で途切れてしまっている<写真提供/杉 薫>

 また6月は気温と湿度だけでなく紫外線量も上昇。皮膚科医の藤澤大輔氏はダメージの蓄積で皮膚がんのリスクが高まると解説する。 「皮膚がんの直接原因となるUV-BとUV-Aが急激に増加します。特に、皮膚の奥深くまで貫通するUV-Aの量は6月がピーク。皮膚に蓄積されたダメージは抜けることがなく、リスクが上積みされていきます。結果として皮膚がん、正確には『悪性黒色腫』が引き起こされれば命を脅かしますよ」  病気の予防には転ばぬ先の杖の精神が大切。面倒くさがらずに気温、紫外線対策はしっかりと。 死のリスク★★★★★ 罹患リスク★★☆☆☆ ※数値は各識者の所見、厚生労働省発表の統計データを参考に、編集部で算出したもの <この病にも要注意!> ・脳卒中 年間死亡者数が12万人を超え、三大疾病の一つとされる脳卒中。一般的に冬の病のイメージがあるが、心筋梗塞と同様のルートで、血流が悪くなる6月に発症リスクが高まる ・悪性黒色腫 人生100年時代とも呼ばれる現代は寿命が延びた分だけ、ダメージの蓄積によって発症する病のリスクが高まる。男性も美容には興味がなくとも、健康のために紫外線対策を 【杉 薫】 小田原循環器病院病院長。血管の健康を守るために警鐘を鳴らす。著書に『これで安心! 不整脈~脳梗塞・突然死を防ぐ』(高橋書店) 【藤澤大輔】 藤澤皮膚科副院長。日本大学医学部講師。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。父の藤澤重樹医師とともに地域医療に従事する ― 6月に急増[死に至る病] ―
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