更新日:2018年12月07日 21:30
お金

資産数十億円⇒借金7000万円…母がつくった借金返済で身につけた価値あるモノの見分け方<腕時計投資家・斉藤由貴生>

腕時計投資家の斉藤由貴生です。私は、現代のおかしな消費を変えるために実践を重ねながら、いろいろ研究してきました。私は30代のいわゆるバブルを全く知らない世代です。所有欲の薄い世代とは言われますが、私の場合は、むしろ価値あるものは我慢せず所有したいと考えています。そんな私の価値観を、不定期ですがご披露したいと思います。

斉藤由貴生氏

第1回 どんなお金持ちも金銭感覚が狂うと転落する

 腕時計投資と聞いて、お金に余裕のある人のすることか、と考える方もいるかと思います。私自身は、言ってしまえば“元”ボンボンです。現在は、ほどほどの収入で暮らしています。なるべく私自身の経歴は簡潔にお話ししながら、消費の極意を悟るに至った経緯を説明しましょう。

まだ、家にお金があったころアメリカのディズニーランドにて

 私の祖父は「チャコット」というバレエ用品メーカーの創業者です。2015年2月期の売上は約109億円で経常利益は約4億円。バレエをやっていた女性、もしくはお子さんがバレエをやっている親御さんなら聞いたことがあるかと思います。実際、全世界バレエ関連市場が1000億円と言われる中、約10分の1のシェアがあるらしいので、世界的な影響力がそこそこあるはずです。  しかし、私が幼稚園の頃に、祖父はチャコットを大手アパレルメーカーのオンワード樫山に売却。その額は約100億円。私が3代目社長になる可能性は断たれました。

成人する頃には家が破たん。資産はどこに消えた?

 跡取りではなくなりましたが、100億円の資産がある家なら、お金に苦労することはなさそうです。母方の祖父でしたが、私の家にも数十億円ほどの資産はあったかと思います。しかし、結論から言えば、我が家は私が成人する頃には、破たんしてしまうのです。その原因は母親でした。それこそ、母親は消費には無計画な人だったのです。  お金があればなんにも考えずに使ってしまい、しかも借金を頼まれても疑うことなく貸してしまいます。しかもその額がとにかく派手なのです。例えば、友人から借金を申し込まれ、実際に貸した額は1億円。その1億円は未だに返却されていません。  小学生の私は、近いうちに家にお金がなくなるのではないか、と心配になっていました。母のお金の使いぶりは小学生の私にもわかるぐらい豪快なもの。まだ好きなことに使うのならいいのですが、「コンサルタントに勧められたから」とか「不動産の営業マンに薦められたから」という理由でお金を使ったものが多い印象です。ちなみに、父親とは私が2歳半の頃離婚しているため、父親のことはほとんど記憶にないのです。  今思い出しても、とにかくめちゃくちゃな金遣いでした。その他にも住むわけでもない目白の高級マンションを2億6000万円で購入。その後、約5000万円で売却し、2億1000万円の損失。初期投資額数億円単位の高級イタリアンレストランを開店し、その後閉店。色違いのベンツSLクラスを2台購入、など大きなことから小さなことまで挙げたらキリがありません。  ちなみに、息子の私はというと、年間約140万円も学費がかかる中学校に通わされていました。もちろん周りの同級生もボンボンです。ハワイ旅行に行ったからとオメガなど高級腕時計を買ってもらったと自慢する同級生を何人も見てきました。なので、私も生意気にも親に「腕時計が欲しい」とねだりました。しかし、当然母は買ってはくれませんでした。なぜなら、この時、私の家の状況は、底に残った氷で薄まったコーラをズルズルと音を立てながら飲む子供のように、最後に少しだけ余ったお金を吸い上げて使っている、という状況でしたから。
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借金7000万円をどうやって返済したのか?
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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