更新日:2019年09月27日 15:37
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「消費税10%」で中小企業の大廃業が加速する

消費増税による景気腰折れを防ぐことができるか

ニュースディープスロート

10月15日、安倍首相は消費税率を予定通り来年10月に10%へ引き上げることを表明。※写真は首相官邸公式Twitterより

「大廃業」時代の到来という言葉を聞いたことがあるだろうか。  日本は、中小企業の国だ。’14年の時点で国内の企業数は382万社を数えるが、大企業は1万1000社にすぎない。実に380万に及ぶ中小企業がこれまで地方経済を支えてきたのだが、その3分の1にあたる127万社が’25年までに廃業する恐れがあるのだ。  この「大廃業」は既に始まっていて、今年4月に公表された’18年版『中小企業白書』によれば、’09年から’14年までの5年間に39万社もの中小企業が廃業している(8月1日付日経新聞)。特に建設、製造業、卸売業、小売業、飲食サービス業での廃業が目立つ。企業数が増えているのは、医療・福祉分野ぐらいだ。  廃業の原因は、「事業に将来性がない」という判断とともに、経営者が高齢化しつつあるなかで「黒字経営だが、適切な後継者が見つからないので廃業せざるを得ない」ケースが多い。  そして、きたる127万社の「大廃業」によって、約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われるといわれている。そこで政府も事業承継に関わる税負担の軽減などの対策を取っているものの、地方経済を本気で守るつもりはあるのだろうか。というのも、来年10月に予定されている消費増税が、中小企業の「大廃業」を加速させることになるからだ。
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増税で景気悪化、地方経済も縮小へ
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(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

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 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

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