更新日:2023年03月21日 15:50
お金

メルシャンの1万円ウイスキーが、響21年みたいにプレミアムウイスキーに化けた話

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。最近、私は1つの投資に成功し、20万円以上という利益を手にしました。しかし、それは腕時計ではなく、ウイスキー投資。十数年前に買ったウイスキーがずいぶんな高値で売れたのです。

斉藤由貴生

 ウイスキーは、栓を開けたら価値がなくなってしまうため、腕時計のように「使って⇒楽しんで⇒売却する」ということができません。そのため、私はウイスキー投資には積極的ではないのですが、面白いウイスキーを見つけたら、迷わず買っていた時期があったのです。  ウイスキーは、腕時計ほどの値動きをしないものの、値下がりしにくいアイテムだといえます。十数年前の段階でも、同様の状況となっていたため、気になるウイスキーを見かけた場合は躊躇せず買うことができたのです。  通常、モノは買った値段と同じ額で売るのは難しいため、価格を見て「高いか安いか」を判断します。そして、そのような観点で、高級ウイスキーを見た場合、「たった700mlしか入っていないのに1万円もするのか」と思ってしまうことでしょう。  確かにそれは正解で、栓を開けたら「700mlで1万円」に変化します。けれども、ウイスキーは一度栓を開けても、劣化せず何日間も飲むことができます。そのため、同じ「700mlで1万円」でも、栓を開けたらすぐに劣化するワインとは異なる性質だといえるのです。  私の場合、「700mlで1万円」だとしても、毎日ちょびちょび飲めば、1ヶ月のビール代より安いぐらいで抑えることが可能であるのです。ですから、私にとって高いウイスキーは、飲まなくても、飲んでもそれほど「損」という感覚がなかったのです。  もちろん、栓を開ける際は、「これで1万円が飛んでしまう」と感じます。そのため、十数年前の私は、常用の安いウイスキーと、ここぞというときのウイスキーを分けて飲んでいました。そして、それら高いウイスキーは、いつか栓を開けたくなったときに飲めばいいわけで、その日が来るまでに、高くなったら売れば良いという感覚でとっておいたのです。

飲まずに我慢したメルシャンのウイスキーがいつの間にか……

 そんな私が今回、売却したのは「メルシャン 軽井沢蒸留所 ビンテージ」というウイスキー。私はこれを都内のデパートで見かけ、「軽井沢」という名前と、私の生まれ年のビンテージだったことが気に入り、その場で迷うことなく購入したのです。  ただ、この軽井沢ビンテージは、マニアックな部類だったため、購入後数年は、買った値段と同額で売る難易度も高い状態で、当時の私としては「ちょっと油断して高いモノを買ってしまった」と後悔していました。そのため、一度、友人が家に泊まりに来た時、私は「これ開けちゃおうか」と言ったほどです。その時は、友人が「もったいない」と止めてくれたのですが、私としては「どうせ売れないなら、飲んじゃえ」という感覚でした。  その際飲まなかった軽井沢ビンテージですが、生まれ年のビンテージということもあり、「なにかの記念で飲めば良い」と思い、あまり興味もなく放っておいていました。
軽井沢ビンテージ1986。このシリーズには様々な瓶詰年がある

軽井沢ビンテージ1986。このシリーズには様々な瓶詰年がある

 それから十数年。以前の記事で、家電量販店のポイントで買った「響21年」が値上がり状態ということを紹介しましたが、その記事が公開されてから数カ月後、なんとなく私は響を売ろうと思い、相場を調べてみたのです。  その際、ついでに軽井沢ビンテージを調べたところ、なんと30万円近い相場になっていたのです。響21年より安いと思っていただけに、まさに驚きの結果でした。そこで、私はすぐに、軽井沢ビンテージを売りに出したところ、見事に売却に成功。約1万円で買ったウイスキーが、十数年の時を経て、20万円以上も高い値段で売れたのです。
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なぜこのタイミングで売ったか
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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