『ワンピース』でナミはなぜルフィを殺さなかったのか?
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第153回
人気漫画『ワンピース』にナミというキャラクターがいます。海賊王を目指す主人公ルフィの仲間の一人です。ナミはルフィと出会った当初、海賊を名乗る彼のことを毛嫌いしていました。
第2巻の冒頭で、ナミはバギーという別の海賊にルフィを売り渡そうとします。しかし、バギーにルフィを殺すように命じられると、その命令を拒み、さらに近くにいたバギーの部下を叩きのめします。そして「今さらおれを助けてくれたのか?」と問いかけるルフィに対して、「私は非道な海賊と同類にはなりたくなかったから」と答えます。
ナミにはアーロンという海賊に養母を殺された過去があります。つまり、ナミはアーロンの影響を受けて、バギーの命令を拒んだということです。行動の背景には、常に人物の影響があります。
ナミはもともと戦争孤児でした。それを海軍に所属していたベルメールが戦場で拾い、養母となって育てました。同じく戦争孤児だったノジコと三人で暮らしていたある日、アーロンが彼女たちが住んでいた島を侵略し、上納金を払えなかったみせしめとして、ベルメールの命を奪いました。
養母の命を奪ったアーロンは、ナミにとって親の仇であり、彼女にネガティブな影響を与えています。しかしネガティブな影響を受けたからといって、意志が挫かれるとは限りません。その人物に対する怒りや嫌悪感によって、「抵抗」という形で行動することもあるのです。
身近な人物の死の印象はとても強く、何年経ってもその影響を受け続けます。ナミが養母を殺されたのは、ルフィと出会う八年前の出来事です。八年も前の出来事が、「ルフィを助ける」という行動に影響しています。
とはいえ、「ルフィを助ける」という選択は、ナミにとって即断即決ではありませんでした。バギーに命令された時、ナミは「ここでルフィを殺さなければ、自分がバギーに殺される」と考え、悩んでいます。
ルフィはそんな彼女の心理を見透かし、「中途半端な覚悟で海賊を相手にしようとするからそうなるんだ」と指摘します。ナミは「人を簡単に殺してみせることが、海賊の覚悟なのか?」と問いかけますが、ルフィは「違う。自分の命をかける覚悟だ」と言い切ります。
この「自分の命をかける覚悟だ」というルフィの発言によって、彼女は「自分の命を危険にさらしてでも、同類にはなりたくない」という想いを理由にして、「ルフィを助ける」という行動が取れるようになっています。つまり、ナミが望んでいる行動を取れるように、ルフィが背中を押したということです。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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