新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、飲食や宿泊、アミューズメントなど、さまざまな業界が苦境に陥っている現在。なかでも、早い段階から営業自粛や営業停止を余儀なくされ、未だに再開のめどが立たないライブハウスやミニシアターといった文化施設は、非常に厳しい状況に置かれているようだ。 　もともと、大きな音の鳴る場所であるライブハウスや映画館は、防音の必要性から“空間が密閉されている”という特徴を持つ。“3密”を避けるべき今、営業ができないのも仕方のないことだろう。 　ライブハウスや映画館で鑑賞される芸術自体は、生存活動に直接関わるものではない。とはいえ、ミュージシャンやアイドル、俳優に加え、音響や照明といったスタッフ、施設の運営に携わる人々にとって、こういった施設の営業停止は生活に直結するものであり、決して軽視されていい問題ではない。 　そこで今回は、自粛を要請する政府に対して補償を求める運動や、資金調達のために実施されているクラウドファンディングなど、文化施設を守るためのさまざまな活動をご紹介しよう。

5月7日に行われた【それぞれのSaveOurLife ～命と仕事を守ろう～】「日本に住むあらゆる人々の暮らしと職を守り、継続的な支援を求める記者会見」のアーカイヴ映像が全編公開となりました。30名に及ぶ様々な立場の様々な声をぜひ聞いてください。#SaveOurLife #SaveOurSpace #DOMMUNE https://t.co/fcdWhgkVuZ

— SaveOurSpace (@Save_Our_Space_) May 11, 2020

　音楽業界関係者を中心に立ち上がった「Save Our Spase」。新型コロナウイルス感染拡大による相次ぐ公演中止で、窮地に立たされているライブハウスなどの救済を掲げ、開始された署名活動だ。3月27日から始まった署名は3月31日正午までに30万筆を超え、4月1日には、これらの声が政府与野党協議会へ出席の議員たちに届けられた。 　また、東京都の要請に応じて休業している期間に、ライブハウスやクラブが無観客配信ライブを行っても、営業したとみなされて「感染拡大協力金」の対象から外されてしまうという見解についても、要項撤回を求める活動を展開。署名を集めて東京都に提出したという。こうした活動が実を結んだのか、のちに都は、無観客でライブ配信を行う場合、“3密”状態を発生させない施設使用であれば給付対象外にはならないと明らかにした。 　現在では、“新型コロナウイルス感染拡大防止に努めるあらゆる人の仕事と生活を守る継続的な支援を求める署名”として「#SaveOurLife」を立ち上げるなど、その対象範囲をぐんと拡げているSave Our Space。ネットプリントを利用して署名呼びかけのチラシ素材を提供し、署名の呼びかけを行うなど活動の周知にも努めている。気になった方は検索を。

私たちは所属や分野を超えて、ミニシアターを救うためにできることをひとつずつ形にしてゆきたいと考えています。第一弾として、政府に対し適切な支援を要請するため、署名を集めています。全国のミニシアターを救うため、是非ご協力をお願いいたします#SaveTheCinemahttps://t.co/EgKJa8YXmH

— SAVE the CINEMA (@save_the_cinema) April 6, 2020

　全国に約160館存在しているミニシアターでは、何十年も前に公開された作品や小規模な作品、さまざまな国の映画が上映されてきた。映画館それぞれが、独自の視点で選定する作品たちは、映画を愛する人々の豊かな感性を育んできたのだ。何としても守られなくてはならない場所の一つだろう。 　そんなミニシアターを救うべく立ち上がったのが「SAVE the CINEMA」。特設サイトによれば、「緊急支援として新型コロナウイルス感染拡大防止によって生じた損失（観客数の大幅な減少）を補填するための支援」、「終息後、集客回復のための広報活動、ゲスト招聘、特集上映などのイベントに対する支援」の2点を政府へ求め、主に署名活動を行っているという。 　SAVE the CINEMAは、次項に挙げる「ミニシアター・エイド基金」とも連携中だ。ミニシアターという施設と文化を残していくために、あらゆる手を尽くしている最中だと言えるのではないだろうか。