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「資金繰りがもう限界」街金業者が語るコロナ不況の深刻度

高利貸し未経験者から融資の依頼が相次ぐ

借金

※写真はイメージです。

「コロナ2年め」となる今春。東京商工リサーチの調べによれば、感染拡大が本格化した昨年2月から1年間の新型コロナウイルスによる影響で倒産した企業は1186社。業種別では飲食業がもっとも多く、建設業、ホテルや旅館業が続いている。  2度目の緊急事態宣言は明けたが、危機はこれからが本番かもしれない。というのも、「これまでは国の支援でなんとか持ちこたえていた事業者が限界を迎え、今後倒れ始める」という懸念が強まっているのだ。 「今年に入り、今まで高利貸しを利用したことがないような人たちからの申し込みも多くなりました」  そう語るのは、『ぼく、街金やってます』の著書でも知られる街金業者のテツクル氏だ。年間100~150人の多重債務者に融資をしている。街金の年利は15%。かなりの高利にも関わらず、テツクル氏の元には今年に入ってから、いよいよ資金繰りに窮した債務者が続々と駆け込んで来ているという。 「これまでなんとか資金繰りができていた零細企業の社長が藁をも掴む思いで申し込みに来ています。しかし僕は担保がない限り、基本的にお断りしますね」  テツクル氏はお金を貸す際、原則として債務者には不動産を担保に入れてもらっている。担保があれば、万一のことがあっても不動産を売ってもらえば、回収ができるからだ。では、新型コロナ流行後に回収率に変化はあるのだろうか。 「金利の支払いを遅れる人は増えています。勝手な解釈で毎月の金利を減額して振り込んでくる人もいます。安定した取引先からの入金も遅れたり途絶えたり……ここでもコロナ禍の影響は拡大しているのを感じますね」

最後は国の助成金頼み?

 さらに最近では、「コロナ禍ならでは」のこんな債務エピソードも。 「『もう少ししたら、持続化給付金が振込まれるから!』『コロナ特別融資が実行されたら返済するから!』など、国のサポートを後ろ盾に融資の申し込みにくる人がいましたね。しかし、そもそも給付金がいつ振り込まれるか、いつ融資が実行されるかなんてわからない。  さらに、裁判所では『持続化給付金を返済に充てるのはダメ』とも取れる判決も出ているので、断っておいてよかったなと思ってます。ほかに住宅ローンの返済が数ヶ月遅れていて、借りに来る人も多数いました。  この時点で立派な多重債務者の仲間入りなんですが、本人たちは『高金利の借金はすぐ返済して終わらせよう』『なんとかなる』と思っているもの。ただでさえ住宅ローンが遅れるのに、それに加えて高金利の返済なんて現実的に不可能です」  最近では、コロナ不況にあえぐ不動産業者が「10億を貸してくれ! このビルを仕入れて転売する!」と物件資料を片手にテツクルに融資を求めることも。 「10億で売りに出されている物件を購入するために10億円を借り入れたところで、登記費用や毎月の金利を支払える体力はないはず。コロナ禍の苦しい日々から1発で脱却したい気持ちはよくわかりますが、結局は日々の積み重ね。苦しい時に大きな商いなんてできるわけない」  地道にコツコツと。日々、街金の最前線で債務者と対話をし続けるテツクル氏の言葉は重い。 【テツクル氏】 都内で貸金業を営む。債務者と債権者の日常をつぶやくツイッターが人気。著書に『ぼく、街金やってます』(ベストセラーズ) <取材・文/アケミン>
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