恋愛・結婚

多様性時代の恋愛と結婚――“日本一有名なニート”pha×文筆家・佐々木ののか

―[夜のこと]―
“日本一有名なニート”として名をはせたpha氏が、過去の恋愛を下敷きに書いた初の小説『夜のこと』が11月15日に発売される。そんな彼と、“家族と性愛”をテーマに掲げる文筆家・佐々木ののか氏に、多様性時代における恋愛と結婚のこれからを伺った。
ダイバーシティ時代の恋愛と結婚

佐々木ののか氏(左)、pha氏

【対談】pha×佐々木ののか ダイバーシティ時代の恋愛と結婚

 10年以上に及ぶシェアハウス生活の中で訪れた、数々の恋愛とセックス。日本一有名なニートとして脚光を浴びたpha氏の新刊『夜のこと』には、部屋の至るところにカッターナイフを置いているメンヘラ女性や、騎乗位の最中に彼氏ができたことを報告してくる女性など、さまざまな異性との色恋が綴られている。  対する“家族と性愛”をテーマに取材を重ねる文筆家・佐々木ののか氏の近著は『愛と家族を探して』。法律婚ではなく、独自の契約を交わして結婚生活を送る夫婦や、恋人関係にはないが、同性パートナーシップ制度を使って「家族」になることを目指す2人の女性など、「愛」と「家族」の多様なかたちを実践する人たちが紹介されている。  数多くの実体験や取材を経た今、彼らは恋愛や結婚とどう向き合っているのか。その心境を聞いてみた。

生きづらさの元凶はパッケージ化された恋愛と結婚

――そもそもphaさんは『夜のこと』に登場する女性それぞれに恋愛感情はあったのでしょうか? pha:恋愛、性欲、それとも他の何かなのか。当時、その正体はわかりませんでした。これまでを振り返ると、恋愛とセックス、そして交際と結婚、それぞれ重なっている部分はあるけれど、恋人、セックスの人、生涯を共にする人、それぞれに相性のいい相手がいて、だからこそ全部少しずつずれている。それらは別ものなんじゃないか。今はそんな心持ちです。
pha

「原始的な装置である恋愛や性欲に弄ばれているだけ」

佐々木:世の中は、その全部をひと括りにして扱いがちですよね。 pha:多様性を否定して型にはめ込んで、リアリティのない未来に“約束”という拘束衣を着せようとする。すべてをひとりの異性で満たすのは窮屈だし不自然かな。 佐々木:人妻と「タイミングが合ったらセックスしよ」と口約束し、結局やらずに終わるエピソードがありましたが、そのくらいがちょうどいいのかもしれないですね。実際にしちゃって後味が悪くなることもあるし、やらなければ自分好みの妄想に浸れる。ユルい約束ならずっとワクワクでき、反故になっても笑って済ませられる。 pha:セックスへの欲望って、「してもいいよ」と言われた瞬間に半分くらいは満たされる気がするんです。「そのうちするかも」という浮ついた約束がポケットに1個入っているだけで、味気ない日常でも乗り切れる気がします。
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元”日本一有名なニート”・pha(ファ) 初の小説を執筆!
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