エンタメ

「異性との出逢いは合コンよりひとり居酒屋」ハライチ澤部が取り憑かれた“ひとりメシ”の魔力

コロナ禍による「個食」の普及や漫画・ドラマ『孤独のグルメ』のブームも手伝って、「ひとりメシ」はもはや寂しいものではなく一般的なもの、あるいは「自分の欲求を満たせる贅沢な時間」になりつつある。では、多くの人を魅了してやまない「ひとりメシ」の魅力とは? 芸歴3年目でM-1グランプリ決勝に進出して“スピード出世”を果たし、今や“お昼の顔”として週6日でバラエティ番組のMCを務めているお笑いコンビ・ハライチの澤部佑さんに話を聞いた。

ハライチ・澤部佑さん

人と話すのもままならない僕を“青虫”に成長させてくれた

澤部佑(以下、澤部):もともと20代前半までの僕は人と話すのが苦手で、カラオケボックスで室内の受話器を持つだけで手の平が汗でびっしょりなるくらい緊張してしまって、料理もドリンクもまともに注文できませんでした。それくらい社会に溶け込めないタイプだったんですよね。その一方で、大人の階段を上るじゃないですけど、地元の人たちに愛されている居酒屋や定食屋に一人で通うことに強い憧れを抱いていた。それで、20代半ばでひとり暮らしを始めてから「ひとりメシ」をするようになりました。 ただ、こじんまりしたお店や常連が集う店だと、扉を開けた瞬間にチラッとですがお客さんの視線が一瞬自分の方に集まるじゃないですか。それがもう怖くて本当に嫌で嫌でね。それに店員さんに声をかけられるだけでビクッと全身がこわばってしまうし。だから、最初はお客さんのいないガラガラの時間を狙ってカウンターの角で俯きながら「ひとりメシ」をするって感じでした。それでも注文の度に店員さんとだけは言葉を交わさないといけない。そんなことを色々なお店で繰り返しているうちに人と会話することへの抵抗が薄らいでいった。僕にとって「ひとりメシ」は、度胸をつけてくれたり、人慣れさせてくれたり……。卵から“青虫”に成長させてくれた「場」でもありますかね。

ひとりメシが“縁結びの場”に

「ひとりメシ」がなかったら僕は今も独身だったかもしれない(笑)

2013年に結婚した澤部さん。「異性との出逢いは合コンよりひとり居酒屋」と独自の恋愛ライフハックを語るように、彼にとっての「ひとりメシ」は縁結びの「場」でもあったという。 澤部:実は妻と出逢ったのが、「居酒屋ひとりメシ」で通っていた居酒屋「博多串焼き・もつ鍋 よだれ屋 渋谷桜丘町店(現在は閉店)」。おじさんしか来ないようなお店で、仕事終わりに必ず立ち寄ってはちょっと飲んでラーメンを食べるという生活を3年近く続けていました。3年も通うと、さすがの僕でも店員さんや常連さんとも少しは会話できる仲にはなっていまして。で、そんなある日、彼女がひとりでお店に入ってきたんです。 居酒屋ひとり飲みをしている彼女の姿に惹かれて、僕の隣に座っていた常連のおじさんに「可愛い女性ですね」と囁いたら、そのおじさんが彼女のもとにつかつかと歩み寄って「皆で飲みましょう」と声をかけてくれた。そこからです。僕と彼女(妻)の人生が重なり始めたのは。当時、芸人仲間や先輩に彼女との馴れ初めを話していたんですが、そしたらいつの間にかこのお店が縁結びの聖地になっちゃっていて、結婚するまでは、お笑いタレントの山里亮太さんもちょくちょく顔を出していたみたいです (笑)。
次のページ
無関心なほうが居心地はいい
1
2
3
おすすめ記事