恋愛・結婚

多様性時代の恋愛と結婚――“日本一有名なニート”pha×文筆家・佐々木ののか

恋愛のかたちは一つじゃない

佐々木ののか

「性愛や家族は一生かけても摑めない“流体”なんです」

佐々木:心に余裕のなかったかつての私は、交際向きではない男性と、どうすれば永続的な関係を築けるのかと悩んでいました。たどり着いた答えは、彼の子供を産んで彼と人生の交点を持つということ。「あなたの遺伝子をください」と土下座までして断られたり、暴力を振るわれても会い続けたり。 pha:若さゆえの破壊衝動がスパークしていますね。 佐々木:(笑)。非合理を楽しむのが恋愛だけど、生涯を共にするパートナーは全く別だなと、さまざまな恋愛を通して悟りました。 pha:僕は逆で、女性と長い時間一緒だとひとりになりたいし、ひとりでいるときは誰にも邪魔されたくない。自由の持つ気楽さを手放したくないのかも。 佐々木:恋愛のかたちは一つに定まっていませんから。最近私も、かつての激情型恋愛に発展しないと思えたので同棲を始めたんです。 pha:恋愛ではないってこと? 佐々木:その彼といると安心して自分らしくいられるし、感情に振り回されず冷静に物事を判断できるんです。仮に彼の気持ちが冷めても、生活のパートナーとしてやっていけるかなと感じました。 pha:僕は、女性と恋をするし、セックスもできるけど、恋人同士でいることや人生を共に歩んでいくことに、そこまで興味は持てなくて。恋愛・結婚に向いていないというか、ひとりが向いているタイプの人間なんでしょうね。

普通からはみ出した“予定不調和”な結婚

――交際相手のいない若い男女が増えています。独身にとどまっている理由で30%近くの男性は「結婚資金が足りない」と経済的理由を挙げ、かたや30%以上の女性は「自由や気楽さを失いたくない」と結婚にネガティブな印象を持っています。ここは男女差が浮き彫りになりましたが、どうお考えでしょうか?
ダイバーシティ時代の恋愛と結婚

特定の交際相手を持たない若者が半数以上。また、総務省の国勢調査では、50歳時点での生涯未婚率は2030年には男性が約30%、女性は約23%になる見通し

ダイバーシティ時代の恋愛と結婚

「自分の稼ぎで自活できる女性は増えているのに、女性を養うことへの責任感が男らしさとしていまだに根づいているのは興味深いですね」(佐々木氏)いずれも『第15回出生動向基本調査報告書』(国立社会保障・人口問題研究所)を基に作成

佐々木:共働きでも女性は家事や育児に追われますから、自由を奪われるイメージが強いのかも。 pha:男性の場合、そこまで大きく生活は変わらないと思う。ただ男女共に、環境に不満なく生きていける人がいる一方、「夫婦関係には興味はないけど子供は欲しい」「子育てを家族以外の知人や友人と共有したい」など、従来の結婚の在り方からこぼれ落ちる人たちも少なくないでしょうね。
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普通以外の選択肢があることを知るだけで、逃げ道が生まれる
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夜のこと

元”日本一有名なニート”・pha(ファ) 初の小説を執筆!
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