更新日:2021年02月18日 15:12
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舘ひろしが自ら「大根役者」と名乗るワケ

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第243回 役者 映画『ヤクザと家族 The Family』で、舘ひろしは暴力団の組長、柴咲博を演じました。身寄りがなく自暴自棄になっていた主人公の山本賢治に、柴咲が手を差し伸べたことで、二人は親子の契りを結びます。  この柴咲を演じる際に、舘ひろしが重ねたのが、自分の兄貴分である渡哲也です。雑誌のインタビューで、舘ひろしは渡哲也のことを「父であり、アニキであり、人生の師だった」と話しています。

他人の言葉を大切にする

『ヤクザと家族』に限らず、舘ひろしは役者仕事そのものについて、渡哲也の助言を大切にしています。その助言は「ひろし、演技なんかしちゃいけない」「ひろし、お前、最近芝居が上達したな。ダメだ」といった演技を否定するものでした。  舘ひろしは自分や渡哲也、石原裕次郎を含めた石原軍団について、「大根役者軍団」と公言しています。昨年ブルーリボン賞を受賞した時も、「大根役者が賞をもらえた」とコメントしています。また、この受賞を渡哲也は、「ひろし、よかったな。お前は『大根の花』を咲かせたんだ」と喜んだと言います。 「頑張ればうまくいく」という根性論でもなければ、「こうすればうまくいく」という方法論でもない、人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が人間には必要です。この信念論のパターンを覚えれば覚えるほど、自分の信念も自覚できるようになります。  舘ひろしは「うまい演技をするな」という兄貴分の助言から、「自分たちは大根役者」という信念を持ちました。その信念が形になったのが、『ヤクザと家族』で演じた柴咲博であり、ブルーリボン賞の受賞です。  渡哲也は昨年8月に78歳で亡くなりました。このことも舘ひろしに大きく影響しています。故人が生前に残した言葉は、死後に印象が強まるからです。

想いを受け継ぐ

 遺言というと、遺産相続に関する内容や、死の間際の言葉をイメージしがちです。そうした遺言も大切ですが、故人が生きていた間に、自分に何を話したか、何を残してくれたのかを思い出すことは、それ以上に自分の人生を変える力があります。  親しい人との死別は、大きな悲しみや喪失感をもたらします。しかし、死にゆく者が想いを託し、残された者が想いを受け継ぐ「継承」が行われていると、その悲しみや喪失感を超えて、力強く前に進めるようになります。 『ヤクザと家族』の完成報告会で、舘ひろしは「渡さんと裕次郎さんの『映画を作る』という夢のともしびを持ち続けられる事務所を設立できたら」と独立を示唆しました。70歳になっても新しいチャレンジを考えられるバイタリティは、人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が原動力になっています。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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