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将来世代のツケになる国債を増やして大丈夫なの?元日銀副総裁がわかりやすく解説

私は経済学者として国内外の大学で教鞭をとったりした後、’13~’18年には日本銀行副総裁として金融政策の立案にも携わりました。そこで、感じたのは「経済を知れば、生活はもっと豊かになる」ということ。そのお手伝いができればと思い、『週刊SPA!』で経済のカラクリをわかりやすく発信していきたいと考えました。

将来世代のツケになる国債を、増やしても大丈夫?

経済オンチの治し方

イラスト/岡田 丈

「国債発行は将来世代へのツケである」ことは、日本では常識のように語られています。10年国債が発行されると、10年後の世代が払った税金を原資にその国債が償還されるという考えに基づいています。  しかし、将来世代は支払った税と同額の国債償還金を受け取ります。国債の多くは銀行が保有しており、預金者である国民が国債償還金の最終的な受取人となるからです。  では、国債発行は将来世代の“負担”なのでしょうか?  負担を測る目安となるのが「消費」です。国債発行により、国債を発行しなかった場合よりも将来世代の所得が減るようならば、消費を減らさざるを得ず、消費から得られる効用は減少してしまいます。これが本当の「国債発行の将来世代へのツケ」=負担です。  つまり、ツケは国債償還時に払わされるものではなく、国債発行時から償還までの間に発生し得るものなのです。
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東京大学大学院経済研究科博士課程退学。上智大学名誉教授、オーストラリア国立大学客員研究員などを経て、’13年に日本銀行副総裁に就任。’18年3月まで務め、日本のデフレ脱却に取り組んだ経済学の第一人者。経済の入門書や『「日本型格差社会」からの脱却』(光文社)、『自由な社会をつくる経済学』(読書人)など著書多数

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