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65歳で貯金ゼロ…作家・中村うさぎが直面する老後の不安「生きるためには働くしかない」

 買い物、ホスト通い、美容整形にハマった自らの体験を赤裸々に書き、女性たちから支持を集めてきた作家でエッセイストの中村うさぎさん(65・@nakamura_usagi
中村うさぎ

中村うさぎさん

 前編では、引きこもり生活を経て再び美容整形に挑んだ経緯や失恋したホストとの再会劇などを聞いた。後編では、余生のプランや老いとの向き合い方、風俗の仕事経験、ゲイの夫と育んだ家族愛に迫った。 【前回記事を読む】⇒“うつ状態の引きこもり生活”を経て…65歳の作家・中村うさぎが再び美容整形に挑むワケ

使ったカネは身になったけど失ったものは大きい

――2013年に緊急入院し、心肺停止、意識不明となり、死にかけた経験を持つうさぎさんですが、余生をどのように生きたいとお考えですか。 中村:余生は好きなことだけをやって生きていこうと思っていたんですが、病気をしてから10年間も「引きニート生活」を送っていたので、経済的に逼迫してきました。私は収入がないにもかかわらず、お金をバンバン使ってしまう性格なので。ある日、家計を管理している夫から「うちはもう生活できないよ」と言われ……。「働かないとダメか」と思い、仕事をする気になったんです。  でも、10年間も引きニート生活をしていたんで、仕事の依頼も来ない。求人サイトを見ても、私にできる仕事は極端に少ないんです。病気の後遺症で今も杖をついて夫に介助してもらって外出しているので、通勤や動き回る仕事はできない。65歳なので、年齢的にも厳しいですし。

過去の自分に復讐されている気がする

中村うさぎ

病床にて心肺停止から蘇った中村うさぎさん(当時55歳、※本人提供)

中村:そう考えると、私にできる仕事は、在宅で書くことしかない。それで出版社の知り合いにライターの仕事を相談したら、数日後に「『中村うさぎ』の名前を出した途端に『イメージが悪いからダメ』と上司に却下された」と気まずそうに言われました。  私のイメージは過去に自分が書いた実体験や本音によって作り上げられたものだから、自業自得だなと。そういう意味では、過去の自分に復讐されている気がします。  65歳って、多くの人が定年退職する年齢ですよね。その歳で貯金ゼロという現実に直面すると、過去にホストに3000万円注ぎ込んだり、ブランドの服に数千万円使ったりしなければよかったのかな……と思うことも。でも、そういった経験がなかったら今の私はないわけです。なので、後悔はないですね。
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風俗の仕事を「やってよかった」と思う理由
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大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle

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