更新日:2024年05月16日 12:50
恋愛・結婚

「妻が、子どもを脅すように叱るのをやめさせたい」という夫。しかし、原因は夫にあった

「妻の子どもへの態度が酷すぎる」という相談

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「子どもをキツく叱りすぎるパートナー」に辟易していた相談者。しかし、相談者の態度にも問題があり……

 こんにちは。DV・モラハラ加害者が、愛と配慮のある関係を作る力を身につけるための学びのコミュニティ「GADHA」を主宰しているえいなかと申します。コミュニティではさまざまな悩みが共有されています。今回は、子育てにおける事例を紹介します。 「パートナーが子どもに対して脅すような叱り方をしているんです。それもまだ就学前の子どもにですよ? 『そんな叱り方は加害なのでやめて欲しい』と伝えたら、今度はこちらにマジ切れしてくるし。一体どうしたら良いのでしょうか」(Rさん)  ご自身のパートナーとの関係の危機を迎えた際に、パートナーからの勧めでGADHAに参加したRさん。  最初は自分自身の言動がモラハラだとは露ほども思っていなかったそうですが、GADHAでモラハラ・加害について学ぶ中で、自らの言動がパートナーへの深刻なモラハラ・加害になっていたことに気づき、現在、加害者変容に向けて取り組みを進めています。  そんな折、パートナーの子どもに対する叱り方が、子どもへのモラハラ・加害になっているのではないかと思い、先のような悩みを持つに至ったとのことでした。  一見、モラハラとは直接関係のない子育てに関する悩みにも見えますが、今回はこのケースを深堀りしていきます。  僕がRさんにその時の状況をもう少し詳しく聞いてみると、Rさんは次のように答えてくれました。 「朝、子どもが保育園の準備を前日にしていなかったんです。そうしたら、いきなりパートナーは『どうしてやっていないの?寝るまでに保育園の準備をしておこうって、いつも言っているよね?』と就学前の子どもを責め始めるんです。  その詰問に対して子どもが返事できなかったり、ぐずって動かなかったりすると、『黙っていたらわからないでしょ?時間になっても準備ができてなかったら、家に置いていくからね!』と子どもを脅してコントロールしようとするんです。実際に子どもを家に置いていける訳もないのに。  私はそのやり取りを聞いているのがどうしても苦痛で」

自分が正しいと信じ込んでいる時こそ、注意すべきである

 Rさんは続けます。 「子どもが忘れたり、できなかったりするのは、ある意味普通ですよね?朝の忙しい最中に子どもを責めたってどうなるものでもないですし。いくら子どもに対して、保育園の準備を前日にするよういつも注意しているからと言ったって、さすがにやり過ぎですよ。パートナーにだって、夜に子どもと一緒に準備をするとか、寝る前に確認するとか他にもやりようはいくらでもあるんですから。  どうせ子どもに注意するなら、もっと穏やかにしてほしいんです。子どもへの悪影響が心配です……そうした私の希望をパートナーに伝えても全く聞いてもらえません。それどころか、今度はこちらにマジ切れしてくるんです」  一見すると、Rさんの心配や意見はもっともで、Rさんのパートナーこそが加害者のようにも見えます。しかし、GADHAでは、加害者自身からは見えていない視点があるかもしれない、と想像しながら相手の話を聴きます。  以前の記事『「自分のほうこそ被害者だ」と主張する人々は話を盛る傾向がある』でも述べたとおり、僕も含め、加害当事者の多くは「相談しながら自己正当化」してしまいがちで、自分の加害性を認識することが非常に苦手です。  正しいことをしているように見えている時こそ、我々は慎重に考える必要があります。  そこで僕は、「Rさんのパートナーは、小さい子供が苦手だったり、あるいは人に暴言・暴力などをしても平気な人だったんですか?」と、Rさんにパートナーの人柄について聞いてみました。  Rさんは、「いえ。子どもと遊ぶのが好きで、ユーモアもあり情に厚い人です。そんなところが好きで一緒になりました」と答えてくれました。  であれば、そうした美徳を持つRさんのパートナーが、なぜ自分の子どもにきつく当たってしまうのか、そこには何らかの理由があるはずです。
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そもそも、Rさんは子どもの保育園の準備に関わっているのか
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DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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