夏フェスで増加する迷惑客の実態【後編】
―[夏フェスで増加する迷惑客の実態]―
国内外問わず様々なアーティストが出演し、すっかり夏の風物詩になった夏フェスこと野外音楽フェスティバル。開催する数も規模も大きくなっているが、残念ながらそれに比例するようにマナーの悪い客も増えている。
今回は夏フェスでの様々な目撃談と、ネット上で多く見られる意見を集め、夏フェス迷惑客ランキングをつくってみた。
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◆第2位 ゴミ
夏フェスには都市型や自然派、室内や野外と様々なタイプがあるが全てに共通する問題がゴミ問題。あまりにゴミが多く捨てられているため地元の自治体や個人からクレームが殺到し、開催すら危ぶまれるケースもある。
「毎年多少のゴミや騒ぎは我慢していますけど、今年は酷すぎます! 地元をわがもの顔で汚されて本当に腹が立ちますよ。主催者にも、もう開催しないように抗議のメールを送りました」(41歳・男性)
「使った食器とかコップを返すと100円キャッシュバックとかやってるイベントでも、ポイ捨てしてる人が多くてびっくりしました。おかげでたくさん拾ってドリンク代が稼げましたけど」(29歳・女性)
もはや「捨てる手間>100円」という感覚が恐ろしい。都市型フェスでは会場の外で缶ビールなどを飲み、あふれかえったコンビニのゴミ箱の周りに放置したり、一人捨てると即席の「ゴミ捨て場」ができてしまうことが多いようだ。
「持ち帰ってくださいって貼り紙してるんですけど、毎年お店のゴミ箱が溢れて大変です。泥だらけのTシャツとかボロボロになった椅子を捨てていく人もいるし最悪ですよ……」(45歳・男性)
中にはエコを謳った夏フェスもあるのだが、ゴミが山盛りになった人間のエゴが集められたようでなんとも醜い光景が広がることも。くれぐれも「ゴミは出さない。出したら持ち帰る」という意識を持ってほしい。
◆第1位 場所取り
栄えある第1位に輝いた蛮行がこの場所取り問題だ。
「自分の好きなアーティストを観るために前のバンドの演奏中から前列キープして、周りの盛り上がってる人をうっとうしそうに見る人とかいて、そういう人に限って『なんでこんなバンドで盛り上がってんの?』みたいな顔するんですよね。一緒に盛り上がればいいのに」(23歳・女性)
「露骨につまらなさそうに棒立ちしてたり、演奏中に携帯をいじってる人もいて酷かった。出演者がステージからチラチラ見てるから、いつキレてライブ中止になるかヒヤヒヤしましたよ」(35歳・男性)
こういった客は毎年ある程度いるもので、周囲から無言の圧力をかけられて去って行くものだ。そして、ここ数年目立つのが“椅子族”である。
「通路に人が溢れるぐらいに混雑しているのに、何メートルか前を見るとポッカリと大きなスペースが空いてたので、背を伸ばしてよく見ると何十個も椅子が並んでました。場所取りで椅子並べてるんですよ。全部捨ててやろうかと思った」(37歳・男性)
本来混雑してきたときには畳んで撤去するのがルールなのだが、周りも片づけないからいいやとライブ中も広げっぱなしにする輩もいるのである。
「持ち主が盛り上がって前に行っちゃって、後ろに置きっぱなしの椅子がたくさんありました。ダンス系の出演者でみんな踊りたいのに邪魔で仕方なかったです」(30歳・女性)
「迷惑そうに椅子から見上げてくる奴とか、前の方でギュウギュウなのに椅子に座って押しつぶされてる奴もいました。危ないからやめてほしいです」(26歳・男性)
空いているときや邪魔にならない場所なら大丈夫なのだが……。「夏フェスはスタンディングが基本。立って見るのが面倒なら、フェスに行くこと自体、あまりオススメできません」(音楽ライター)という意見も。
のんびり見るための癒しのツールでも、周りにとってはアングリー・チェアーなのだ。筆者もイライラして思わずスタン・ハンセン的な椅子の使い方をしてしまいそうになった。
「夏フェスって主催者やアーティストだけでなく、みんなで楽しんでイベントを作り上げていくものだと思います。去年よかったことは今年もやって、今年ダメだったことは来年から改善する。楽しいこと、辛いことを皆で共有してイベントを盛り上げていく。それが伝統になると思います」(音楽ライター)
まだまだ夏はこれから。フェスに行く方もマナーに気をつけて存分に楽しんでほしい。そして思い切り盛り上げて、日本にもウッドストックのような伝説を作ってほしいものである。 <取材・文/林バウツキ泰人>ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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