地方の「相席居酒屋」攻略法。21時半の“魔の時間帯”に注意
最近では、首都圏だけでなく全国各地に次々とオープンしている相席居酒屋。初対面の男女がその場でいきなり杯を交わせるという画期的なこのシステムは、手っ取り早く男女が出会える場として空前のブームとなっている。
一般的な相席居酒屋の攻略法と言えば、互いが適度に仲良くなったところでミニゲームを提案、罰ゲームで酔いを回らせた状態で二次会に連れ出すというもの。そこから女性同士を引き剥がせば無事ゴールインとなる。
だが、これは二軒目に使える店とラブホテルが隣接している都市部ならではの攻略法にすぎない。地方ではまた別の戦略が考えられるだろう。
そこで今回、取材班は先日オープンしたばかりという甲信越地方初進出の相席居酒屋に足を運んだ。
◆混雑は20時以降
相席居酒屋は伊勢丹などのショッピング施設が集中する新潟駅からほど近い万代シテイ内にある。キャバクラやラブホが集中する飲み屋街として賑わう古町エリアからはバスで5分ほど離れているため、あわよくばお持ち帰りをするうえでの立地はやや不利といえよう。
事前に得た情報によると、相席居酒屋が混雑する時間帯は首都圏と同じ20時ごろ。
前評判通り、20時ごろの店内は男性客が3組待ち、女性は満席という盛況っぷりだった。どうやら、オープンから早くも話題になっているらしい。
最初の対局となったのは、高校の同級生という生まれも育ちも新潟市内という24才コンビ。髪が明るい相川七瀬似のユカちゃん(仮名)は某キャリアのケータイショップ店員。一杯目のオーダーはまさかのオレンジジュースだ。
もう一人は高畑充希から純粋さを漂白したような顔の事務職サキちゃん(仮名)。彼女は迷わず生ビールをオーダー。
「サキちゃんはお酒好きなの?」
「うん、めっちゃ飲む!」
新潟、悪くないじゃないか。テーブルの下でガッツポーズする取材班の2人。
では、新潟の夜に乾杯っ!
「2人とも相席居酒屋は初めて?」
「初めて。だからシステムとかよくわかってなくて」
「お兄さんたちも初めてですか?」
「いや、オレたちは新宿とか六本木の店によく行ってるから」
「えっ? 東京から来たんですか? なんでなんで?」
「ウソでしょ? 東京!?」
「東京から来た」の一言に驚く2人。新潟では「東京」というキーワードはそれなりに機能するようだ。引きは抜群なので、ここから一気に攻めるすることにしよう。
「東京から来たのは大事な理由があってね。婚活をしに来たのよ」
「え? 東京のほうがかわいいコいっぱいいるじゃん? なんで?」
「オレは新潟のコと結婚したいんだよ」
「オレも新潟の女の子以外結婚考えてないから」
「なにそれ! 意味分かんないけどおもしろい!」
「じゃあ、新潟美人との出会いに全力で乾杯っ!」
こんな調子で何度かの乾杯を重ね、40分ほどが経過。酔いがまわってきたサキちゃんに「東京と新潟で何かあったときのために緊急連絡網をつくろう」と提案してLINEを交換。さらにこの勢いで二軒目の飲みを提案したところ…。
「今日はユカに送ってもらうから帰ります」
ケータイショップ店員のユカちゃんが飲まなかったのはこの理由からだった。そう、地方では二人組みと飲む場合、片方が運転手役になるケースが少なくないのである。
◆21時半の悪魔
悲劇はさらに続く。二組目のアクセサリーショップの同僚という29歳と27歳のアラサーコンビも、宴が最高の盛り上がりを見せた21時半、急に席を立った。
「え? 帰るの?」
「もう9時半だから……」
「え? まだ9時半じゃん!」
「いや、帰ります。私送ってかなきゃだし」
「マジか! 逆にまだ9時半でしょ! これからでしょ!」
こちらの主張もむなしく、2人は真面目に帰っていった。そしてこの時間、他の席も慌ただしく、大量の女たちが席を立っている。
そう、新潟の飲み会は21時を超えたところで解散するケースが多いらしい。一次会終了後、酒を飲んでいない片方がドライバーとなり、もう一人の女を運んでいく。車で帰ることを前提にしている飲み会の後に、女を最後まで持っていくのは至難の業かもかもしれない。
◆22時以降、再び飲みたい女子が増加
だが、神はまだ見捨てていなかった。
それから10分後、次々と女性客が来店し始めたのだ。実は、新潟でこの時間以降に来店する女たちは、一軒目を飲み終えたものの、まだまだ飲み足りない女たち。先ほど相手していた女たちよりも圧倒的にノリがよかったのだ! お互い酒もガンガン進む。
それからさらに一組を相手にしたところで時刻は24時をまわった。新潟ではこの時間帯に電車はない。朝までコースを想定した女たちも少なからず存在しているはずだ。
頻繁にトイレとドリンク補充のために席を立ち、すれちがった女たちに片っ端から声をかけてLINE交換。酔った女に遭遇したらすぐに店を出る作戦だ。
「今日は飲みに来たんだよね」
もっとも狙えそうなターゲットと対局できたのは24時半をすぎたころだっ
た。相席になったのは地元の仲間というやや派手な23歳の若手コンビ。
新潟では化粧が濃い部類に入るカヨちゃん(仮名)とユウちゃん(仮名)は去年まで東京の大学に通っていたというUターン組だ。「東京から来た」という我々の自己紹介に俄然興味を示す二人。
バレないことをいいことに「六本木在住」とウソをつき、話を盛り上げる。焼酎を煽るカヨちゃんの動きにいよいよ今夜の食材が決まったことを確信した取材班だが、ユウちゃんがしきりにスマホをいじりだした。
「ごめん、ここ飽きた? お店もそろそろ閉まるし飲み直そうか!」
すると、スマホ画面を見つめる彼女からまさかの返答が。
「あ! いまやっと迎えが来たって!」
そう言うと酔っ払って呂律の回っていないカヨちゃんを連れて2人は席を立った。
まさかの展開に動揺する取材班。こうなったら誰でもいいから拾い上げよう!と、店内で声をかけた女たちに片っ端からLINEを送信。
すると、奇跡的に一組が捕まった。
<いまから飲み足りないからクラブ行くとこ!>
実は、相席居酒屋と同じ建物の地下には新潟の遊び好きの若者が集うクラブがあったのだ!急いで足を運ぶと、クラブ前は若者たちのたまり場となっていた。が、その分ライバルも多い。
結果、最後まで持ち込むことはできなかったものの、なんとか地方相席居酒屋攻略のコツはつかむことができた。
◆地方相席居酒屋攻略法まとめ
1:メシはどこかで食っておくべし!(ビュフェ形式でメシは満足度低し)
2:東京から来たことをアピールしつつも地元を褒めてやるべし!
3:車送迎リスクがあるか聞き出して行動せよ!
むろん、女客のすべてが車送迎を発動するわけではない。だが、相手が終電をなくしたからといって勝利を手中に収めたと判断するのは、地方の相席居酒屋では早計の判断であることは覚えておいてほしい。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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