昭和のほうが凶悪犯罪が多かった

過去を懐かしむことは決して悪いことではない。しかし、昭和ノスタル爺の懐かしみ方は常軌を逸している。昭和は本当に良かった時代なのか!? “昭和ブーム”の浅薄さを検証し、その後ろ向きな懐古主義がもたらす弊害について考えてみた。

ノスタル爺【昭和懐古主義派の主張】
◆青少年の凶悪犯罪が増えた平成に比べ、昭和はのどかでよかった。道徳心は昔のほうが高かった

「現在は秋葉原通り魔事件や酒鬼薔薇事件など、歪んだ青少年犯罪が増えている。全体の犯罪件数も昔より多い」と嘆くのは、古き良き昭和を尊ぶ人の決まり文句。その理由として「昔は他人を出し抜こうとせず、皆、助け合っていた」「子供の頃に厳しい“しつけ”を受け、人の道を外さない精神が備わった」とするのだが……。

【実際は……】
◆今より格段に多かった犯罪。少年による猟奇的事件も

 犯罪は昔のほうが多かったとのこと。平成22年の刑法犯の検挙人員は8万5846人だが、法務省「犯罪白書」によると昭和37年は今より格段に多い56万9866人。そのうち、16万2941人が14歳以上20歳未満の少年だ。特に強姦は成人よりも少年のほうが検挙人員が多いという事態なのだ。

 猟奇的犯罪も、平成の専売特許ではない。昭和32年、中学1年生の男子が誘拐された。同性愛嗜好を持つ犯人は死体をバラバラにして金魚鉢などでホルマリン漬けにしていた。昭和38年には東京で、児童を狙った連続傷害事件が相次ぐ。性器切断を目的とした異常犯罪の犯人は、学業優秀な17歳の高校生だった。昭和39年には東京で児童誘拐が頻発、教育長が防止対策を各市区に通達した。

「今は誰もがどこでも歩ける国になりましたが、昭和30年代、女性や子供の歩ける場所はだいぶ限られていたと思います。私が生まれた昭和50年代でさえ、暴力団や無軌道な若者が集まる歓楽街など『あそこには近寄るな』というエリアが必ずありました」と語るのは、小説家の深町秋生氏。カネ目当ての確信犯もいれば、欲望を理性で抑えきれない強姦魔や通り魔は今よりむしろ溢れていたのだ。

【深町秋生氏】
作家。現在、14万部のヒットとなっている近著『アウトバーン』など著書多数。公式ブログ『深町秋生のベテラン日記』や、映画評論などの執筆活動もしている

イラスト/テラムラリョウ
― [昭和ノスタルジー]が日本を滅ぼす【4】 ―

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