空前の“神社ブーム”到来? 東條家末裔主催の「神社人」が盛況

「縁結び」「パワースポット」「癒し」といったここ十年来続く一大スピリチュアル・ブームの影響もあってか、神社・神道の“総本山”、伊勢神宮の参拝客が2007年以降増加の一途を辿り、2010年には860万人の大台を突破。日清戦争の終わった1895年の調査統計の開始以降過去最高を記録したが、昨年、今年とさらにこの入場者記録を更新し続けている。

 その「お伊勢さん」が、今秋20年ぶりの大きな節目を迎える。すでに昨年から、社殿の内宮と外宮の2つの正殿、14の別宮のすべての社殿を造り替え遷す「式年遷宮」が執り行われているが、この一大神事のクライマックとも言える「遷御の儀」が10月2日に営まれることが正式に決まったのだ。この遷御の儀、古くから時の今上天皇により日取りが定められる習わしとなっており、今回この御治定を受けた伊勢神宮が、2月26日に正式に発表。今年は、出雲大社の60年ぶりの大遷宮も重なるため、現在、神社巡りの手ほどきをする指南書や旅行関連書籍の特設コーナーを設けている大型書店も増えており、夏から秋にかけてちょっとした神社ブームが到来しそうな勢いなのだ。

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「神武天皇の正式な名前はなんでしょうか? 初めての参加の方にはちょっと難しいかもしれませんが、答えは(B)の『カムヤマトイワレヒコノミコト』でした」

 東京・渋谷、2月11日の「建国記念の日」を数日後に控えたウィークデーの夜、「日本を10倍楽しむための神社人講座」と題された勉強会には、20~50代の男女30人ほどが集まっていた。この日のテーマは「建国記念の日にあわせて神武天皇を学ぶ!」。仕事帰りのサラリーマンやOL、主婦や学生など参加者は一見ばらついているようにも映るが、その多くは神社交流サイトやフェイスブックで繋がった人たちだという。

 全国の神社を巡って撮りだめしたという写真に加え、自作のイラストや初心者にもわかりやすい解説用のフローチャートなどが映し出されたプロジェクターのスクリーン。その傍らでマイクを握るのは、この勉強会の講師であり神社ポータルサイト「神社人」(http://jinjajin.jp/)を主催する東條英利氏だ。

東條英利氏主催勉強会

東京・渋谷で開催された「神社人主催の勉強会。講義には、歴女サークルの世界では有名なアイドル歴女の姿も。会の打ち上げでは、参加者同士で「好きな神社」談義で盛り上がるなど和気あいあいとした雰囲気

 姓を見て、もしやと気づく人もいるかもしれないが、実は東條氏、かの東條英機元首相の直系の曾孫。先頃急逝した「保守の論客」として名高い東條由布子氏は叔母に当たり、昨年、『日本人の証明 東條英機の曾孫が語る緊急提言』(学研パブリッシング)を出版し話題となった人物でもある。

「『東條』と聞いて一瞬身構える人もいらっしゃるのですが(笑)、私は至って物腰の柔らかい普通のオジサンです」

 その言葉通り、勉強会の空気は終始和やか……というより、むしろ脱力感溢れる(?)軽妙洒脱でフランクな語り口に、会場内は時折笑いに包まれることも。この日の講義でも、のちに神武天皇となる若御毛沼命(わかみけぬ)の四兄弟の神話を紐解く際、漫画『北斗の拳』を引き合いに出し、「長兄ラオウが五瀬命(いつせ)、次男トキが稲飯命(いなひ)、三男ジャギが御毛沼命(みけぬ)。そして、末の弟ケンシロウが若御毛沼命……と考えるとイメージしやすいと思います。意外に思われるかもしれませんが、一子相伝をテーマにした『北斗の拳』と日本の神話はクロスオーバーする部分もけっこうあるんです」といった具合なのだ。

 ひとえに東條氏の柔和なキャラクターに拠るところが大きいのだが、建国記念の日だったこの日の講義では、神道、神話の枠組に捕らわれず、こんな“こぼれ話”を披露するひとコマも。

「日本以外の国には『独立記念日』や『紀元節』など、必ず国の成り立ちを祝う『建国記念日』があります。それなのに、日本の『建国記念の日』には建国記念と日の間になぜか『の』が入っています。そもそも、この祝日はかつて紀元節と呼ばれ、『日本書記』にしたためられていた初代・神武天皇即位の日として明治5年に制定されたものでしたが、終戦後廃止されてしまった。その後、国が誕生した日を祝わないのはおかしいと50年代以降、復活の動きがあったんですが、9回の法案提出があったものの、これを当時の社会党がことごとく反対したんです。結局、『の』を入れる妥協案は、“国が誕生したという事象そのものを祝う”という意味にも取れるからOKとなった経緯があります」

 東條氏が主催する「神社人」のサイトを覗くと、「日本に住んでいるのに知らないことばかり」「神社は日本人のルーツ」「(身近な文化スポットとして)まずは楽しむということ!」といった言葉が並んでいる。トップページには、全国8万社余りの神社をデータベース化することを目指して作られた検索サービス(現在、1万社程度の検索可能)もあり、「恋愛成就」「金運上昇」「出世開運」といった“ご利益”別に自分好みの神社を探すことも可能。神社や神道にかしこまったイメージを抱いている初心者にとっては、この間口の広さは嬉しい限りだろう。

 だが、「東條家」の姓を継ぐ末裔が、このような神社のポータルサイトを立ち上げたきっかけは何だったのか? 東條氏が話す。

「数年前まで、私は商社マンとして長らく香港で仕事をしていたのですが、そのときに内から見る日本と外から見る日本のギャップを、いい部分悪い部分含めてとても客観的に眺められる機会を得たんです。日本人のアイデンティティって何だろう? 東條という姓を受けた自分は何者なんだろう? って。日本にはいいところがたくさんあるのに、外国人はもとより当の日本人さえあまりよく知らない……そういう文化を広く伝えていくには、神社を知ること、神道を知ることが大事だと考えるようになったんです。東條家も神道と浄土真宗でしたし自然な流れでした」

「神社人」ではイベントやワークショップも開催している。年に数回、参加者を募って伊勢神宮や出雲大社を巡る参拝ツアーを組んだり、昨年暮れには、地方の農業生産法人を招いて藁まみれになってお正月の注連飾りを作るなど趣向をこらした催しが多いので、楽しみながら学べる場と言ってもいいだろう。

 秋に控える「遷御の儀」を前に、まだまだ知らないことが多い日本の文化に触れるため、学生時代にはお手上げだった「古事記」や「日本書紀」を改めて読み返したい気持ちになる。 <取材・文/山崎元(本誌)>

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