画家・増山麗奈の放射能パニック体験 ロスに避難しようとカンパを募る
―[放射能パニック家族の狂生活]―
◆地震2日には自宅とギャラリーを放棄して関西へ
原発事故を受け、放射能パニックに陥る家族。特に子を思うママは不安を感じやすく、画家でライターの増山麗奈氏もその一人だ。
地震発生翌日に、ブログやツィッターでなんと「家族でロスに避難するのに60万円くらい必要」とカンパを募り、幼い2人の子供を連れて新幹線に飛び乗った。
「そのときは本当にパニックで、東海道新幹線の中で何をしていたのかもよく覚えていません。海外に逃げなければと思って、ブログにロスって書いてました? 60万円じゃあ、一家4人でロスの避難生活なんてできるわけないですよね。結局、カンパもファンの方から計4万円ほど送っていただけましたけど」
その後、ロスではなく京都の友人宅に1泊させてもらい、後から避難してきた夫と合流。牛肉偽装問題を内部告発して有名になった西宮冷蔵の水谷洋一社長の好意で、事務所2階の仮眠スペースに一家4人で3週間ほど滞在したという。
「社長さんはタダで泊めてくれたうえ、私たちが兵庫県内に部屋を借りて引っ越すとき、テレビや冷蔵庫まで提供してくれました。今わが家は、昨年採れた食材や原発から遠い産地の食材を取り寄せ、内部被曝に気を使いながら生活しています。ガイガーカウンターも5万円弱で購入しました。外食を控え、食材をまとめ買いしているので、かえって安上がりです」
さらに、内部被曝対策に噂のサプリメントを家族で使用。ほかに、民間療法をお試し中とか。
「常温で1週間置いた米のとぎ汁を、スプレーで吸うというのを子供と一緒に試した。とぎ汁に繁殖した乳酸菌が、体内の放射性物質をタンとして出してくれるというものです。確かにタンは出るんですが、それが放射能なのか、とぎ汁に変なバイ菌が繁殖。そのせいで、タンが出るのか判断がつかず、すぐやめました」
こうした放射能を心配する妻と夫との〝温度差〟が原因で、不仲になるケースもある。そんな夫婦に増山氏はこんなアドバイスをくれた。
「実は私も一時、夫と険悪になりました。でも、東電のせいで放射能がまき散らされて、さらに夫婦関係まで潰されるなんてムカつかねぇ?』と話し合ったんです。東電への怒りをお互いに確認したら、なんだかすっきりして……。夫婦仲は以前よりだいぶマシになってきましたよ」
東電という共通の敵で、放射能パニック家族も円満になれる!?
【増山麗奈氏】
反原発の画家兼ライターで2児の母。「いのちを守るお母さん全国ネットワーク」関西支部世話人。主演の脱原発ドキュメンタリー映画『桃色のジャンヌ・ダルク』が11月5日、東京・千代田区の「NO NUKES PLAZAたんぽぽ舎」にて上映された。脱原発のジャンヌダルクこと藤波心さんも参加
http://renaart.exblog.jp/17017916/
取材•文・撮影/仲田マイ 藤倉善朗 鈴木大介 内村塩次郎
― 放射能パニック家族の狂生活【7】 -
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