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死ぬことが決まっている沼――連続投資小説「おかねのかみさま」

みなさまこんにゃちは大川です。

『おかねのかみさま』44回めです。

今回も六本木SLOW PLAYで書いてます。

※⇒前回「ボリボリ」


〈登場人物紹介〉
健太(健) 平凡な大学生。神様に師事しながら世界の仕組みを学んでいる
神様(神) お金の世界の法則と矛盾に精通。B級グルメへの造詣も深い
死神(死) 浮き沈みの激しくなった人間のそばに現れる。謙虚かつ無邪気
美琴(美) 普通の幸せに憧れるAラン女子大生。死神の出現に不安を募らせる
杉ちゃん(杉) ITベンチャー社長。ヒットアプリ「アリファン」を運営

〈第44回 皿回し〉
渋谷区桜丘 アリファンカンパニー

「ちょっとまっててくださいね。つーかなんで急に40%もDAUおちてんのよ?なんかした?」

「社長…あれです…ポケモン…」

「ぽけ…あーーーーーーーーーあれか。マジか。え、どうすんのよじゃあ。午前中に証券会社に言っといた来期の数字とかクリアできないじゃん。どーすんのこれ?」

「詫び砂糖とかバラ撒きましょうか?あとは、SSRアリンコの出現率をいじるとか、時間帯限定でガチャ回数を増やすとか…」

「でもさ、それって効果あるんだっけ?いままでそれやってどうだった?」

「効果ありました」

「じゃ、全部やって。できることぜんぶ。いまのタイミングで数字が変わるのはヤバイ。予定が狂っちゃう。つーか全部やり直しになる」

「わかりました」

「ポリポリ…」

「……」

「ゲンキダシテ…」

「ありがとう…一本いただきます…」

「ドウゾ」

「あなた…お名前は?」

「ニガミデス。ガミチャンッテヨバレテマス」

「そうか、ガミちゃん、いま聞いたことは誰にも話しちゃだめだよ」

「カシコマリマシタ」

「こんにちはー」

「あ!かみさま!」

「なんとなく来ちゃいました」

「いやほんと、マジで、すごいタイミングに来てくださいました。たいへんなんです。少し先の不幸にゆっくりと吸い込まれていくような、意識はしっかりとしてるのに、死ぬことが決まっている沼に沈んでいくような…」

「まぁ、会社やってるといろいろありますからね。そちらの方は?」

「銀座のお店のニガミさんです」

「ガミチャンデス」

「そうですか。はじめまして」

「かみさま、どうしたらいいんですかね。こういうとき」

「どうしたんですか?」

「今日もたくさんくるかなーって思ってたお客さんが半分になっちゃったんです」

「こまりましたね」

「ディーエーユーデス」

「なるほど。なにか対策は?」

「ぜんぶやりました。結果はまだですが、ある程度の効果は見込めるんじゃないかと」

「そうですか。それでは気長に待ちましょう」

「そうも言ってられないんです。監査法人はまた明日くるし、主幹事証券会社のうるさい人も明後日くるし、夏のボーナスは超えたけど、オフィス移転に伴うもろもろの支払いがガーっと来る感じでして…」

「おや、移転?」

「はい。もうちょっと坂の上のほうに3倍広いところを借りまして…」

「3倍」

「はい…卓球台とかコミュニケーションスペースとかお昼寝部屋とかもありまして…」

「なるほど」

「いずれも今季の数字を元にグイグイ発注してしまったものですから、えーとどうしたらいいですかね」

「過去の予定と現在の状況に乖離があるんですね」

「はい…」

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「将来の見通しは?」

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