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サンタの格好をしたストリップ嬢のおっぱいに「メリークリスマス」とつぶやいた夜――爪切男のタクシー×ハンター【第十六話】

 仕事を終えた私は、家とは別方向に進路を取り、百軒店のストリップ劇場に足を運んだ。昭和初期を思わせる古いミラーボールが頭上にキラキラと回っていた。そんなに似合っていないサンタの衣装に身を包んだストリップ嬢たちのショーが今夜も始まる。露わになったサンタのおっぱいを私は微笑ましく見ていた。祖母のおっぱいとは違って張りのあるいいおっぱいだ。そう、私にとってのクリスマスはやっぱりおっぱいなんである。  ショーのクライマックスで大股開きをして陰部を見せつけているストリップ嬢に私は三回ほど呟いた。 「メリークリスマス」 「メリークリスマス」 「メリークリスマス」  ストリップ劇場を後にして、普段は吸わないタバコを口に咥える。自分でも笑ってしまう程にタバコが似合わない男だ。火をつけずにタバコをクシャクシャに丸めて捨てる。目の前に停まっていたタクシーに乗車して開口一番に言う。 「運転手さん、メリークリスマス」 「……はい(笑)。メリークリスマスです」 「……ハハハ」 「お客さん、どちらまで?」 「家に帰ります。家までお願いします」  お家に帰ろう。そしてもう眠っているであろう彼女のおっぱいを揉んで揉んで揉みまくろう。今日はクリスマスなのだから。 文/爪 切男’79年生まれ。会社員。ブログ「小野真弓と今年中にラウンドワンに行きたい」が人気。犬が好き。 https://twitter.com/tsumekiriman イラスト/ポテチ光秀’85年生まれ。漫画家。週刊SPA!に読み切り漫画『愛より先に死んじゃう』掲載(12月20日発売号)。鳥が好き。 https://twitter.com/pote_mitsu ※さまざまなタクシー運転手との出会いと別れを繰り返し、その密室での刹那のやりとりから学んだことを綴ってきた当連載『タクシー×ハンター』がついに書籍化。タクシー運転手とのエピソードを大幅にカットし、“新宿で唾を売る女”アスカとの同棲生活を軸にひとつの物語として再構築した青春私小説『死にたい夜にかぎって』が好評発売中
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死にたい夜にかぎって

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