テレクラで出会った“大きすぎる女”の手はとても温かかった――爪切男のタクシー×ハンター【第十五話】
―[爪切男の『死にたい夜にかぎって』]―
終電がとうにない深夜の街で、サラリーマン・爪切男は日々タクシーをハントしていた。渋谷から自宅までの乗車時間はおよそ30分――さまざまなタクシー運転手との出会いと別れを繰り返し、密室での刹那のやりとりから学んだことを綴っていきます。
【第十五話】「みんな部品の付き方が違ったり、足りない部品があるからいろんな人間がいる」
今日も職場で一人残業。気分転換にベランダから渋谷の夜景を見下ろす。特に何の感情も揺さぶられない街の灯り、行き交う人々の群れ、騒音、罵声、空気の汚れ。掃除の行き届いていない薄汚れたベランダの床にカナブンの死体がいくつも転がっている。
人生で唯一「イジメ」に遭ったのは高校生の時だった。
高校時代の私の顔は、中学時代に患ったひどいニキビの後遺症で鼻が真っ赤っ赤だった。ニキビ自体はほぼ消え去っていて、生き別れの母親から受け継いだ女の子のような色白で艶がある美しい肌を取り戻していたのだが、顔の中心部が赤、その周辺が白という配色が日本の国旗に似ているという理由で、「ジャパン」というあだ名で呼ばれてイジメられた。イジメられながらにして国を背負わないといけないという二つの重圧が私を苦しめた。
皮膚科には通っていたのだが、「成長期に見られる症状なので早期解決は難しい」とのことで医者にも打つ手はなかった。それでも何とか鼻の赤みを取れないものかと、「あらゆるお肌のトラブルを解決!」という怪しい謳い文句で広告されていた商品を買い漁った。蛾の幼虫であるカイコが紡ぐ糸で作られたスポンジ、死海の塩で作られた洗顔料、葉緑体がたくさん入っている植物性化粧水。本当に色々な物を買った。多額の借金を抱えながらも、私に苦労をさせまいと毎月の小遣いを捻出してくれていた親父。そんな親父に悪いなと思いつつも、その小遣いで怪しい商品を買い続ける息子。親子の気持ちはすれ違い続け、息子の鼻は赤いままだった。
|
|
『死にたい夜にかぎって』 もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー!
|
この連載の前回記事
【関連キーワードから記事を探す】
サウナ入って飯食って寝る…閉店直前の『カプセルイン蒲田』で怠惰な時間(後編)/カツセマサヒコ
ロウリュを初体験!閉店直前の『カプセルイン蒲田』で起きたサウナ室の優しい問題(前編)/カツセマサヒコ
背徳感たっぷり!日本最古の現存する浅草の地下商店街にある焼きそば屋『福ちゃん』/カツセマサヒコ
もうすぐ創業100年を迎える渋谷の老舗お好み焼き店『たるや』で食べた塩味もんじゃ焼き/カツセマサヒコ
イラン人店主が営む上板橋駅の居酒屋『花門』で運ばれてきた大皿料理に絶句/カツセマサヒコ
「風呂ナシ部屋で、ガラケー生活」タブレット純(49歳)があえて“不便な生活”を実践するワケ
「お笑いの舞台で救われた」“ムード歌謡の貴公子”タブレット純が語る、ダメ人間だった時代
『バカはサイレンで泣く』イベントで「貴乃花」をお題に大喜利大会。大賞は狂気を感じる大作に
女性の前を歩いてリードする? それとも後ろを歩いて見守る派?――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第7話>
サブカルおじさんの罪と罰――鈴木涼美の「おじさんメモリアル」
死にたい夜にかぎって空にはたくさんの星が輝いている――爪切男の『死にたい夜にかぎって』
人生の岐路に立たされたときこそ“テキトーな占い師”を頼りたい――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第8話>
女性の前を歩いてリードする? それとも後ろを歩いて見守る派?――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第7話>
コインランドリーでゴムをばらまく“コンドームおじさん”を追え!――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第6話>
借金取りを本気で殺そうとしたプロレス少年の愛と絶望――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第5話>
「女子高生の頃から使い続けて35年」テレクラ主婦の“テレクラ愛”を聞いた
“心の勃起度”を競うシュールなイベント、優勝作品は女装癖&露出マニアの中年男優の生き様
テレクラで出会った“大きすぎる女”の手はとても温かかった――爪切男のタクシー×ハンター【第十五話】
地方で生き残る「テレクラの今」を語る――『テレクラキャノンボール』監督・カンパニー松尾氏
「イケメンじゃなくても、女性が色気を感じる男性」に実は共通している特徴
少女の首を絞めた「心臓フェチ」男の人柄は? フェチモデルの女性が告白
電車内でマウントし合っていた男女の会話は、とんでもない方向に舵を切った――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第45話>
SM女王様に学ぶ人心掌握術。サラリーマンが「仕事で主導権を握る極意」とは?
日本一カワイイぽっちゃり女子が決定!「デブカワNIGHT vol.14 ミス ファットウーマン グランプリ」潜入レポート
死にたい夜にかぎって空にはたくさんの星が輝いている――爪切男の『死にたい夜にかぎって』
人生の岐路に立たされたときこそ“テキトーな占い師”を頼りたい――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第8話>
女性の前を歩いてリードする? それとも後ろを歩いて見守る派?――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第7話>
コインランドリーでゴムをばらまく“コンドームおじさん”を追え!――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第6話>
借金取りを本気で殺そうとしたプロレス少年の愛と絶望――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第5話>
コインランドリーでゴムをばらまく“コンドームおじさん”を追え!――爪切男の『死にたい夜にかぎって』<第6話>
「病気になる人の思考回路には共通点がある」ガン含め数百人の病を“やめさせた”メンタルトレーナーが断言
前世の記憶を引き出せれば方言も外国語もペラペラになれる!? 山口敏太郎の「退行催眠」体験談
「どうなったか見たい?」彼女は私のボーナスで女性器を手術した――爪切男のタクシー×ハンター【第三十話】
『君の名は。』の世界は現実に起こりうる!? “過去を物理的に変える”カウンセラーの周りで起きる超常現象の数々
「お前なんやその態度!」女性バーテンダーの胸ぐらを掴んだ迷惑男性客。さらに女性客とも揉め、現場は地獄絵図に…
35歳女優が「ハイスペック婚活パーティー」に参加してみたら…待ち受けていた“無慈悲な制裁”
「韓国好きな日本人女性」を狙う韓国人男性の“卑劣な手口”。ネット掲示板に顔写真付きで晒されることも
1対1で確実に女性と話せる相席居酒屋があった!本気度が高い20~30代女性が集まる
「AI婚活」って?AIが相性診断する恋活イベントに記者が参加、看護師さんと出会えた!
「夏は牝馬、冬は牡馬」は本当か? 競馬の格言をデータから検証してみた
相場の格言は競馬にも通じるか? 競馬ファンも心に留めておきたい株の格言4選
「ハイペースは差し有利、スローペースは先行有利」は本当か?競馬の格言を検証
「乳首も弱いけど、耳たぶ舐められるのが一番好き」風俗嬢との筆談プレイ一部始終――爪切男のタクシー×ハンター【第二十七話】
「紙の匂いを食べて生きていた」貧乏な家に育った私は大人になっても借金地獄にいる――爪切男のタクシー×ハンター【第二十六話】
この記者は、他にもこんな記事を書いています





