――「#hashdark」は映画『暗黒女子』の主題歌になりましたけど、歌詞が映画の内容に合ってますね。
いつか:映画を見る前に書いたんですけどね。もう一曲書いたんですけど、出演者の方が気に入ってくださったからって、そっちを聴かせる前に採用してくださいました。もし、その出演者の方が清水富美加さんだったら、出家に背中を押してしまったかもしれないっていう罪悪感が……(笑)。
――『全部、言っちゃうね。』を読む限りまったく関係ないので、気にしなくていいと思います(笑)。この曲を筆頭に、いつかさんは相変わらずSNSがお嫌いだなと(笑)。
いつか:SNSは日々進化していきますから、その都度、文句が出てきちゃうんです。SNSのおかげで曲ができる(笑)。
――最近気になってるのは?
いつか:ハッシュタグの使い方ですね。20個くらいつけるじゃないですか、SNSのプロたちは(笑)。セレブに憧れるピンクが大好きな女のコたちがinstagramにいますよね。ああいうの見つけると気持ち悪いようなうれしいような感じがあって、クセになっちゃう(笑)。もちろんフォローはしませんけど、たまにキモいもの見たさみたいな感じで見たくなって検索しちゃうから、夢中にさせるって点ではわたしなんかよりプロだなって思います。
――SNSのどのへんが嫌いなんでしょう。
いつか:面と向かって言ってないのがいちばんイヤです。
――たしかに陰口っぽいですよね。実際はみんなに見られてるんだけど。
いつか:でも逃げられるじゃないですか、匿名だし。それがいけ好かない。
――行間に込めた思惑がミエミエなのとかね。
いつか:素直に書けばいいのに、つつかれないような要素をまず自ら出して防御してからちょっと自慢する、みたいな。完全な自慢にならない手法を手に入れたんだなこの人、っていう心理が見えると、ゾクゾクしちゃいます(笑)。
――いつかさんがOKな自意識の表れ方は?
いつか:素直に出してるやつですね。裏側が見えるとダメなんですよ。それこそ始まりは「スッピンでごめんね」だったと思うんですけど(笑)。「ごめんね」の意味がまずわからない。本当にノーメイクが失礼だとは思ってないじゃないですか。
――思ってたら見せないですもんね。
いつか:そうそう。「スッピンでごめんね」っていう、かまってほしいニュアンスが。
――本当は「かわいいじゃん」って言ってほしいみたいな?
いつか:「ごめんね」とは逆の言葉がほしいっていうのがまず素直じゃないじゃないですか。そういうのがやっぱイヤですね。「スッピンかわいいって言って」って素直につければいいのに。
――アルバム制作で苦労したことは?
いつか:スケジュールくらいですね。いちばん苦戦したのは「not not me」です。2週間ぐらい自宅にこもって朝から晩までずーっと考えて。
――「classic glasses」とか「婿においで」とか、過去になかったタイプの曲にラップを乗せるのは苦労しませんでした?
いつか:ビートがあったから。あ、でも「classic glasses」はなかったな。ハマくんから「パンチライン的なヴァースがあるとうれしいです」って言われて、手探りでビートを打ちました。3パターンくらい作って選んでもらったんですけど、レコーディングの前々日くらいにやりとりして、全然まとまってない状態で当日を迎えました(笑)。だいたいのところは作ってくださってたんですけど、曲の形になってなかったから、そこから広げていって。
――前もって作ってあったのはどの部分?
いつか:最初の“色眼鏡で見るものはね”のヴァースと、あとサビです。ハマくんは「リリックだけ聴きながらベース弾くの初めてです」って言ってました。