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清水富美加の背中を押したかも!? カリスマドットコム、ニューアルバムへの思い

清水富美加の背中を押したかも!? カリスマドットコムのニューアルバム――これまでのカリスマの曲は、ゴンチさんがたまに歌う以外いつかさんの歌声だけだったから、「Lunch time funk」で西寺さん、「YAJIUMA DANCE」でチボ・マットの羽鳥美保さんの歌が聴けるのも新鮮です。 いつか:前からやってみたかったんです。チボの曲はアルバムに入れるために作った曲ではないので、偶然ですけど。「Charisma.GUEST」のツアーで来ていただいたとき(2015年3月)、ライブの次の日にはもうレコーディングしてたから、だいぶ寝かせちゃいましたね。出すタイミングを窺ってた感じです。 ――『unPOP』のときにフルカワユタカさん(「もや燃やして」をプロデュース)のレコーディングを見に行った話をしてましたが、今回もそういうことはしましたか? いつか:全体的にいろんな楽器を録るところから見せてもらいました。私はまだトラックを作ったことがないから、こうやって曲ができるんだな、っていうことをもっと勉強しないと。ミックスのときに「ここのベースはこんな感じで」みたいなことをみんな言うじゃないですか。どこが気になるんだろう? って思ってたんですけど、ああやって一個一個録っていくのを聴いたら、そりゃ気になるよなって思いました。わたしが歌を録って「もうちょっと“あ”の音を大きくしてください」とか言うのと同じだなって。 ――表題曲が最後にできたということは、アルバムタイトルを決めたのも最後? いつか:いや、5曲ぐらいできた年末の段階で「タイトルの〆切、来週の月曜です」って言われて、半分以上来月レコーディングじゃないですか~、まだトラック来てない曲もあるのに~、と思いつつ、一所懸命考えました。 ――タイトルありきで作った曲なんですね。 いつか:こんなことしたのも初めてです。スケジュール感だけはプロらしくなってきましたね(笑)。 ――いつかさんってハードルが高いほうが燃えるタイプじゃないですか? いつか:そうです。1月に5曲ぐらいレコーディングしたんですよ。週1曲でも足りないじゃないですか! みたいな。やらなきゃいけないから頑張ってやりましたけど、できちゃうとますますギリギリまでやらなくなっちゃうんですよね(笑)。やろうと思えばできちゃうんですよ。できないって言うほうがイヤだから。 ――やりますって言ってできなかったら、もっとイヤじゃないですか? いつか:だから絶対やるんです。やるって言ったらもう逃げられないから。やるって言ってやらない人もいるけど(笑)、そういうことは私はできないし、したくないです。 ――タイトルの意味は「私じゃない、じゃない」なんでしょうけど、僕は“私”であって“私たち”ですらないところにいつかさんの気合を感じました。 いつか:この「私」には自分も含まれるんですけど、私が「私だ!」って強く言ってるわけではないんです。友達の話とか聞いてると、自分も当てはまってることを自分だけは当てはまってないと思いがちというか、思いたがりがちというか。本当はちょっと気づいてるんですよ。例えば「私の場合は未来がある不倫だから」みたいな(笑)。第三者から見たら同じじゃないですか。そういう、「私だ」って気づいてるんだけど否定したい心理を表したかったんです。ネガティブ思考含みで渋々認めてる感じ。「That’s me」っていうより「That’s not not me」だなって。 ――「私じゃない」じゃないじゃん、って指摘してるんですね。 いつか:ただ私も例外ではないんですよ。例えば「結婚したいけど、すぐにはできないんだよね……」とかウジウジ言ってる同世代の子を見て、そんな不安定な結婚に賭けるの? とか私は言いがちですけど、あっちはあっちで私のことをそう思ってるんじゃないかなって。「いっちゃんの仕事のほうが未来見えなくない? 超売れてるわけでもないのにさ」みたいな。私は結婚を夢見てる子たちより現実的だと思ってるけど、彼女たちから見れば私こそ夢見がちで、そう考えたら誰もが夢を見てるよね、と。「私じゃない」とは言えないよね、ってことを表現したかったんです、この曲では。 ――大人ですね。 いつか:そろそろ大人にならないと(笑)。 ――残るは自分自身だけ、というところまで削ぎ落としていって、そこからパワーを出そうとしたのかなと僕は思いました。ゴンチさんがいてもいなくても、一人になっても戦う覚悟を感じたといいますか。 いつか:“私たちの勝負”って考えることをもうやめたんですよ。“私の勝負”なんだと。今まではなんだかんだ言って、二人でカリスマドットコムなんだから二人で勝負しなきゃいけないのに……って不満に思ってたんですけど、まず私が勝負のラインに立てるように。私の覚悟を示さないといけない。そういう意味では「not not me」は「私だ!」とも言えるかもしれないですね。 取材・文/高岡洋詩 撮影/織田曜一郎(週刊SPA!)
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