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SHOW-YA 伝説の北朝鮮ライブ2days at June 1991の衝撃――2人の日米ハーフ女性シンガーたち

マリーwithメデューサ誕生

 それを端目に見ていた幸雄は、自らディスコの経営に乗り出す。そしてマリーをシンガーに起用した「マリーwithメデューサ」を結成する。1981年に、ライヴアルバム『Marie FIRST LIVE』を発表した。

Marie with Medusa『l was Born ln OKINAWA』(1989年)

 1989年発表のスタジオ・アルバム『l was Born ln OKINAWA』に収録されている「DANGER NIGHT II」の作詞は、アン・ルイスによるものだ。「II」というからには「I」があるわけだが、こちらはSabrina(ガールズ・メタル・バンドFLYING VISIONのSHIMAをヴォーカルに迎えて結成された女性ヴォーカル・バンドで、ギタリストは元ANTHEMの小柳彰史)のアルバムに収録されている。  翌年、『BURNING BLOOD』(1990年)を発表した。メイン・ソングライターは、同時期、ジャニーズ事務所所属のロック・バンド男闘呼組の楽曲を手がけていたMark Davis。そのおかげで、実に美味しい歌謡メタル・アルバムとなっている。

喜屋武マリーWith Medusa『Burning Blood』(1990年)

ヘヴィメタルも洋モノ⇒ハーフ⇒国産化⇒海外輸出へ

 80年頃に勃発した新たな音楽ジャンルのヘヴィメタルでも、外国産が尊ばれ、国産(ジャパメタ)は蔑視されていた。だが、さまざまなところで進んだ国産化にならい、海外ヘヴィメタル・シーンと連動していた日本のヘヴィメタル・シーンにおいても国産化が受け入れられ、2010年から嬢メタル・ムーヴメントが花開いた。  さらに、「アイドルとメタルの融合」をテーマに結成されたBABYMETALは、国内での活動を飛び越えて、ワールドワイドな活動を展開するに至っている。もはや国産化の時期はとうに過ぎており、すでに海外輸出の時代が到来しているのである。今や日本のサブカルチャーは、世界をリードする存在となっているのだ。  いずれにせよ、嬢メタル黎明期に、日米ハーフのメタル・シンガーが3人もいたことは実に興味深く、このことは、嬢メタル史を論ずるにあたって、外すことができない要素だろう。  ところで、ジャパメタの数多くの男性ヴォーカリストを振り返っても、日米ハーフの者は見かけない(在日韓国人はいるけれども)。というか、歌謡曲でも日米ハーフの男性歌手って見かけない。なぜか女性ばかり。その理由は、日米ハーフの若い女性は、その属性だけで、音楽を生業とする者らから「商品価値」があると見なされていたということだろうか……。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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