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マッチョなヘヴィメタル・シーンで繰り広げられる嬢メタル戦国時代…Aldious、DESTROSE、BRIDEARらがシノギを削る

女性ヴォーカルのヘヴィメタル・バンドの活躍

 だが、海外では90年代後期頃から女性ヴォーカルのヘヴィメタル・バンドが目立ち始めた。オランダのThe Gatheringは、3rdアルバム『Mandylion』(1995年)で、アネク・ヴァン・ガースバーゲンを加入させ、彼女をメインに据え、デスメタルからゴシック・メタルに転身。ヘヴィメタルにおいて、まだ女性ヴォーカルは珍しかった時代、新しいものとして広く受け入れられた。  1996年にフィンランドで結成されたシンフォニック・メタル・バンドのNightwishは、ターヤ・トゥルネンのオペラティックなヴォーカルで注目を浴び、90年代後半期、海外のヘヴィメタル・シーンにおいて、女性ヴォーカルの台頭に多大な影響を与えた。ヘヴィメタル・シーンにおいては、デス声、オペラなどどんな歌い方でもアリという風潮が生まれた。  そして、オランダのシャロン・デン・アデル擁するWithin Temptationの2ndアルバム『Mother Earth』(2000年)が高い評価を受ける。後に同バンドはシンフォニック・ゴシック・メタルの中心的存在のバンドとなった。  また、エイミー・リー擁する『FALLEN』(2003年)が全世界で1500万枚を売り上げ、グラミー賞で2部門を獲得するなどのブレイクによって、女性ヴォーカル・メタルのムーヴメントに拍車がかかった。

全世界で1500万枚を売り上げたEVANESCENCEのデビュー・アルバム『FALLEN』(2003年)

 これらのゴシック系やシンフォニック系メタル・バンドの登場以降、女性ヴォーカルをフロントに据えたバンドは世界中で増えていった。  もちろんゴシック系・シンフォ系以外でも、女性ヴォーカリストは増えている。SINERGY率いるキンバリー・ゴス(彼女は韓国人とドイツ人のハーフ)、スウェーデン出身のデスメタル・バンドのARCH ENEMYに加入したアンジェラ・ゴソウと、アンジェラ引退後に加入したアリッサ・ホワイト=グラス、スペイン出身メロディック・メタル・バンド、Dark Moorのエリサ・C・マルティンあたりが代表格だろう。

誰もが男性ヴォーカルだと思った、アンジェラ・ゴソウ加入後初のアルバム、ARCH ENEMY『WAGES OF SIN』(2001年)

 現在、女性ヴォーカル・バンドは、ヘヴィメタルのみならず、さまざまなジャンル、さまざまな国・地域から登場しており、またジャンルの細分化とボーダーレス化によって、広く拡散している。
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嬢メタル戦国時代の先駆け、5人組女性バンドAldious
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ジャパメタの逆襲

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