更新日:2022年10月24日 01:05
エンタメ

マッチョなヘヴィメタル・シーンで繰り広げられる嬢メタル戦国時代…Aldious、DESTROSE、BRIDEARらがシノギを削る

嬢メタル戦国時代の先駆け、5人組女性バンドAldious

 このような海外の情勢を受けて、日本でも、ミュージシャン、リスナー双方の意識が、女性ヴォーカルの起用および容認につながっていった。  日本においてはもう1つ、90年代後期、モーニング娘。を起点として、日本の芸能界に女性アイドル・グループが激増し、“アイドル戦国時代”を迎えたことによる影響も大きいのではないだろうか。“アイドル戦国時代”ムーヴメントが、日本のロックそしてヘヴィメタル・シーンに伝播したと見ていいだろう。メンバー全員が女性のガールズ・バンド・ブームが起き、さらにガールズ・メタル・バンドも続々と登場し、嬢メタルは“アイドル戦国時代”のように、“嬢メタル戦国時代”を迎えた。  2010年代の嬢メタル・ムーヴメントの先駆けとなったのが、5人組女性バンドのAldiousである。2010年に1stアルバム『Deep Exceed』を発表、インディーズ1位を記録し、彼女らは洋楽メタラーにも注目された。

インディーズ1位を記録し、洋楽メタラーにも注目された5人組女性バンドのAldiousの1stアルバム『Deep Exceed』(2010年)

 バンドは2008年に結成され、まずはアゲ嬢ファッションで話題となった。80年代末、日本の音楽シーンに男性メンバーで構成されるV系(ヴィジュアル系)バンドのムーヴメントが起こったが、これは髪を極端に逆立て、過剰にコスチュームを着込んだ特異なルックスが話題になったという側面も大きい。彼女らのアゲ嬢ファッションも、それに通ずる。また、ゴスロリ系の服を纏ったり、メイド服を着込んだバンドも登場した。  つまり嬢メタル・ムーヴメントとは、V系ムーヴメントの性別が逆になったものと見ることもできよう。ただし後続の嬢メタル・バンドらが皆、過剰なコスチュームを纏っているとは限らないが。  2012年に加入した2代目ヴォーカリストのRe:NOは、女性アイドル・グループのメンバーだった経歴があり、その際にアニソンを唄っている。
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嬢メタルシーン最重要バンド、DESTROSE
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

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