老人から大金を巻き上げる有名企業の悪徳商法。気づけば実家が食いものにされていた…
実家に帰るたびに、思わず首を傾げたくなる異変に気付いた方は少なくないだろう。特にSPA!世代の親たちは、いわゆる団塊の世代。高齢で様々な問題を孕み始めており、そういった問題を実家に帰る度に感じる方も少なくないはずだ。
都内で会社員をする山本さん(仮名・43歳)は、今年のGW、1年ぶりに帰省した実家が食いものにされている事実を知り、愕然とした。
「実家に帰るとオヤジ(70歳)が見慣れないタブレットを手に『お前たちは将来のことを考えて資産運用しているのか?』って言うんです。本棚には大量の株や投資関連の本、それを見た瞬間、あ、株でも始めたのかと思いました」
山本さんの父親は名の知れた商社に勤めていた過去が有り、今は貯金と年金、そしてマンション経営をしており、少しくらいの株での損は資産的には問題がないという。だが、事態は予想外に深刻だった。
「母親に話を聞くと、信託銀行や地元の信用金庫、地銀など、金融関係者がやたらと出入りしているというんです。特に問題だったのが某大手信託銀行。父親は上機嫌でその信託銀行の担当者を呼んでやるから、お前たちも将来のことを考えて相談しろと言うんです」
そしてやって来たのは20代半ばのベビーフェイスの営業マン。だが、名刺を見てもメアドも、携帯の連絡先もない。
「その担当者が我々に金融商品を説明するんですが、まぁ、こちらも妻が金融業界で働いてたこともあって、質問やツッコミを入れるとアワアワしやがるんですよ。それで『お前、じゃあ、今一番の金融商品はなんだ?』って聞いたら、消え入るような声で『ブ、ブラジル国債です……ね』って。その理由は?って聞くと『オリンピックもありまして、大統領が……』とか、もう、要領をまるで得ない。お前はオリンピック後のブラジルに行ったことあんのか! ちゃんと投信のリスクを説明したのか! オヤジに売りつけた商品を言え!って迫ったら、今度はオヤジが『そんなにイジメるな』って怒り出して、もう、修羅場ですよ」
結局、山本さんのお父様は、この営業マンにうまく丸め込まれ、インドなどの新興国系のファンドからJリート、さらにはニュージーランドドルの外貨預金まで300万円近く引っ張られていたとという。
「帰りがけに玄関出てから『ワケのわかんねぇもん売りつけんな。これからウチに来る前にはオレに電話しろ』と言って追い返しました。でも、イイ格好しようとしてそいつを呼んだオヤジの立場は丸潰れ。しばらくシュンとしてました。資産を持ってる老人は、もう、仕事も退職してやることがない。バリバリ仕事をしてた人間から仕事を取ったら、残るのはプライドだけ。そこに付け込んで『昔のキャリアを生かして資産運用を~』なんて言いやがるんですよ。老人商法って言いますけど、金融機関の連中はホント、えげつない」
実家が関東近郊にある中堅都市でマンション経営をしている吉村さん(仮名)は、親が無駄な借金を背負わされそうになった一人だ。
「実家はマンションを経営し、親たちはその家賃収入で暮らしています。築25年で、建築する際に借りたカネは間もなく完済予定。清掃業者も入れ、リフォームをしているので見た目にはキレイなんです。でも、改装するからって銀行から1000万円借りるって言うんですよ。何でそんなにカネかかるんだ!って怒ったら、不動産業者とか銀4行の担当者に丸め込まれて『ウォシュレットと無線LANを導入しなきゃ、入居者が来ない。導入すれば家賃も上げられるから一石二鳥』って言われたと。でも、ウォシュレットと無線LANの工事やっても、1000万円なんて掛かるわけがないじゃないですか。そしたら相続税対策で借金が……とかゴチャゴチャ言われたようで……」
結局、吉村さんが間に入り、借金はせずに済んだのだが、この一件で実家とは疎遠になってしまったという。
ウォシュレット導入で1000万円の借り入れ
1
2
ハッシュタグ