雑学

ダニや虫が湧く汚部屋に住む男「自分しか見ない部屋をきれいにして何になる?」

 依存症は、酒や薬物などの物質が引き起こす印象が強いが、近年では、本人の意思の問題と思われてきた痴漢や万引などの行為も、治療が必要な依存症と捉えられている。“新型依存”とも言うべき新しいケースは次々と増え続けている。

大量の物に囲まれた状態だと心が安定する


足の踏み場もない山田さんの部屋

足の踏み場もない山田さんの部屋

 他人に迷惑な行動や自己破壊的な行動を繰り返すのも、依存症の仕組みで説明可能である。

「悪いと知りつつ自己破壊的行動を繰り返すのは、その行為が本人に何かメリットを与えたり、苦痛を一時的に和らげると思っているからです」(精神保健福祉士・社会福祉士 斉藤章佳氏)

 部屋を片付けられないのもその一例。山田剛さん(仮名・38歳・事務)は、不要品を買い込む癖があり、部屋はモノで溢れかえる。掃除できない理由に「自分しか見ない部屋をきれいにして何になるんだ」という寂しさもあるという。

「貧しい母子家庭に生まれ、十分にオモチャも買い与えられずに育ったことで、モノへの執着が強くなったのかも」

 部屋にはダニや虫も湧きゴミ屋敷寸前だが、「大量の物に囲まれた状態だと心が安定する」と話す。不要品を買い漁るのは、決まって精神が不安定なときだとか。

 猪狩幸雄さん(仮名・44歳・自営業)の部屋がゴミ屋敷状態になったのも、心の不調がきっかけだ。

「東日本大震災が発生し、株式投資で大損をしてから、心も生活も荒んでいきました。友人と会わなくなったのもそれからです」

 部屋には壊れたビデオデッキなどの家電製品やビニール袋、空き缶、空き瓶などが散乱。歩くのも面倒になり、瓶の中に小便をしていた時期もあるという。「今は苦情が出るほどの異臭もないのでゴミ屋敷ではない」と話すが、「人が来なくなって安心した部分もある」とも。家を汚す行為は、彼にとって人を遠ざける手段でもあったのかもしれない。

【斉藤章佳氏】
精神保健福祉士・社会福祉士。大森榎本クリニックでソーシャルワーカーとしてさまざまな依存症治療に携わる。著書に『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)

― 急増する[新型依存症]が危ない ―





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