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ボートレース 佐賀のがばい男、艇界の頂に立つ

 獲得賞金1億1984万円。ボートレーサー1595人(12月12日現在)の頂点に立ち、年末の大一番、SGグランプリに堂々の賞金ランク1位として出場することが決まった峰竜太。悲願のSG制覇を遂げ、躍進を続ける佐賀の“がばい男”は今、大舞台を前に何を思うのか……。

賞金ランク1位は通過点でしかない


峰竜太

2017年は悲願のSG制覇を達成し、これまでにない仕上がりで住之江グランプリに臨む

――獲れそうで獲れなかったSGタイトルを今年、ようやく手にすることができました。

峰:ありがとうございます。昨年のオーシャンカップでは準優勝戦でフライングを切ってしまい、周りからも「峰はもう、ここまでの選手や」って言われたり……。でもね、あのオーシャンカップで手応えを感じたんですよ。あ、オレ、SG獲れるなって。

――フライングを切ってしまったのに……ですか。

峰:フライングを切ってしまったことはよくないことだけど、この流れ、リズムの中にいればまたSGの優勝戦で1号艇に乗れるなっていう手応えを感じていたんですよ。

オーシャンカップでSG初制覇

イン逃げで見事オーシャンカップを制覇し、SGウィナーの称号を手に入れた

――それが1年越しの同じ舞台、オーシャンカップでの優勝に繋がったと。

峰:オーシャンカップの前に住之江のG1も獲って、最高のリズムでオーシャンカップにいけました。やっぱりリズムなんだなぁって。

――アスリートの方は“リズム”や“波”を重要視する方が非常に多くいらっしゃいます。

峰:しますね。もう、僕なんかリズムの人間ですよ(笑)。だからいかにいいリズムでいられるかって、すごく重要視してますよ。

――いいリズムとメンタル面の充実は関係があるのでしょうか。

峰:よくゲン担ぎしたりする人もいるけど、僕はしない。でも、何かに頼りたくなるときはありますよ。だから、弱音も吐きます。後輩とか妻とかに「あ~もう、ダメだ!」って。それでスッキリするんですよ。でもね、そう言いながらも本当に崩れている部分は見せない。グッと堪えちゃう。

――やせ我慢……ですか。

峰:やせ我慢じゃなくて、直面している本質的な問題って、結局は自分で乗り越えなきゃいけない。あえて重荷を課すっていうか……。あがいてあがいて、あがきまくって乗り越えた先にこそ、高みってあるんじゃないかって。

――“高み”とは現在の賞金ランク1位という成績なんでしょうか。

峰:でもね、トップに立ってみたけど、何も変わらなかった。賞金ランク1位というは、ただの通過点なんだなって。でも、オーシャンカップで優勝したことと、賞金ランク1位になったことで自信はつきましたよ。もう、SGで戦える。もっと言えば勝てるって。

違った世界から自分を見つめる大切さ


――悲願のSG制覇といえば、同県の先輩である深川真二選手も今年、SG初制覇を成し遂げました。

峰:深川さんは10月の平和島ダービーで、僕は少し先に7月の丸亀オーシャンカップでSGを獲りました。先輩より先に獲ってしまい……って気持ちがなかったわけじゃありません。でも、深川さんに会ったら、普通に接することができたし、ダービー優勝したときはガッチリ握手できましたから。

――ボートレーサーの世界は上下関係、人間関係が厳しいと聞きます。SPA!の読者でも、会社で人間関係に悩む方は大勢います。

峰:僕、サーフィンが好きで海に行くんですけど、海に行くとフッと自分の小ささを感じるんですよ。オレがいなくても世界は回る。オレがいなくてもSGレースは開催できるって。だって、賞金ランク1位の峰が出ないからSGレースは開催できませんってならないじゃないですか。違った世界から自分を見つめることで、また違った感覚で人と接することってできるんじゃないかな。

峰竜太

インタビュー中、子供の話になると顔をほころばせながら語ってくれた峰選手。子供好きな素顔を見せてくれた

――人間関係といえば家族関係も大きな人間関係です。峰さんにとって家族はどんな存在ですか。

峰:子供が生まれる前までは、オレがなんとかしなきゃ!って、がむしゃらな気持ちだったんですよ。でも、子供ができてからは子供のため、家族のために何かしようって気持ちがすごく強くなった。このレースが終わったら子供と遊べるぞ!みたいな気持ちって、ものすごくメンタルを充実させるんですよ。だから、レースに行く前から、終わって帰って子供と遊ぶことが楽しみなんですよね。

――そんなお子さんたちのためにも、また、賞金ランク1位という立場からも、グランプリでは活躍しなければいけませんね。

僕を見てレーサーに……そんな存在になりたい


峰竜太 手

レバーを握り込む左手は繊細で、それでいて力強い闘う男の手、そのものだった

峰:もちろんグランプリでは注目されますし、ファンの方からの大きな期待を背負ってレースに臨まなきゃいけない。でもね、僕は楽しんでやろうって思ってるんですよ。もしも賞金ランクで1位じゃなかったら、また違った気持ちで臨むんだろうなぁって思いますよ。でも、せっかく1位で出場するんだから、楽しまなきゃって。

――最高峰のグランプリは楽しめそうですか。

峰:オレ、ちょっと遊びにいってくるわって感覚でいけたらいいなって思いますね(笑)。

――賞金ランク1位は通過点とおっしゃいましたが、その先にはどんな峰竜太でいたいと思いますか。

峰:今は僕のことを見てボートレーサーになりたいって思われる存在になりたい。峰竜太を見たからボートレーサーになった、峰竜太のレースを見たからボートレースのファンになった……そんな存在になりたいですね。

 ボートレーサー峰竜太の目指す頂は遙か彼方に輝いている。

峰竜太

「ちょっと遊びに行ってくるわ」そんな自然体でグランプリには臨みたいと語ってくれた。住之江グランプリではどんなレースでファンを魅了してくれるのだろうか

【峰 竜太】
’85年、佐賀県出身。登録番号4320。’06年には最優秀新人賞を獲得し、今年7月にはオーシャンカップを制覇、念願のSGウイナーに。獲得賞金も1 億1984万円となり賞金ランク1位(12月12日現在)でグランプリ出場権を獲得。ボートレース界で今、最も注目を集めるレーサー

撮影/赤松洋太 取材・文/長谷川大祐(本誌)

提供/ボートレース振興会




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