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ふとん掃除で絶対に「やるべき/やってはいけない」こと

一方、「絶対にやめるべきこと」は?

 これは「羽毛ふとん叩き」です。昔から干したふとんをパンパン叩くというのはとても見慣れた光景ですよね。恐らくダニの死骸を散らす目的なのでしょう。最近ではふとんクリーナーなんかがその役目を継承しています。 ふとんの掃除方法 しかし、この行為の当否については諸説あるので置いておくとして、羽毛ふとんを叩くのだけはやめて欲しい。  なぜやめてほしいかというと、壊れるからです。羽毛ふとんの側生地は非常に繊細なので、運が悪いとちょっとした刺激でほころびが生じます。  ダウンは微細なほつれからも出てきてしまい、これは睡眠中の吸引につながりますから危険です。お掃除でキレイにする筈が不健康を呼び寄せては本末転倒ですよね。  これはふとんクリーナーにも言えます。  最近のふとんクリーナーはずいぶん優しくなりましたが、矢張り刺激は強く、側生地には酷。どうしても使用したい場合、羽毛ふとんには接触しないようにしたほうがいいです。  というか、そもそも羽毛ふとんにはダニは棲みません。良質な羽毛ふとんなら縫い目にもダニがつきにくい工夫がされていますし、側生地には彼らの棲むスペースなどない。  ゼロはありえないので検査すれば必ずごく少数は検知されますが、よそから来た個体です。もし羽毛布団の中のダウンにダニが繁殖しているならそれは大事件で、即座に買い替えるべきでしょう。  むしろ、叩いたりクリーナーを掛けたりすると、繊細な側生地が痛んで細かなホコリを生む要因にもなり得ます。羽毛ふとんは基本的には部屋干しだけでメンテナンスは十分。逆に考えれば手間いらずの人に優しい寝具と言えましょう。

最後に「アクリルマイヤー毛布はしっかり乾燥させる」

 アクリル毛布は最も親しみのある毛布の一つです。洗えて、軽くて、暖かい。羽毛ふとんとの相性もバッチリ。各ご家庭に一枚はあるはずです。  ただ、あまり知られていないのですが、アクリル毛布は表と裏がある一重のニューマイヤーと二枚合わせで表しかないマイヤーに分かれています。上下を両方つまんで引っ張ったときにみょーんと延びたらマイヤー毛布です。  このマイヤー毛布、二枚合わせの間に生まれた空気の層が暖かさの秘密なのですが、洗濯の際には要注意なんです。  表面が乾いたように見えても中の層に水分が残留していることがよくあります。そのままだと湿って冷たい使い心地になりますし、カビなどを誘発して衛生面でもよくない。普通の毛布よりもちょっと長めに乾燥させて、より暖かく清潔に使いましょう。  年末の大掃除でもこういった知識があればムダな作業を省けるはず。ではみなさん、よい新年をお迎えください。 【元ふとん屋が教えます/大野悦史】 元寝具店経営者。都内で十数年ほど寝具店を経営し、その後は寝具コンシェルジュとして活動中。最新寝具のレビュー情報や睡眠豆知識を紹介するブログ「寝具の情報・ニュースまとめブログ」も運営している。
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