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F1トロロッソ・ホンダが意外と速いのはなぜ?

米家:田辺さんは現場の運営責任者。浅木さんは「この人でダメだったらホンダF1はもうダメだろう」というくらいの人。
F1開幕スペシャル

【パワーユニット開発責任者 本田技術研究所執行役員 浅木泰昭】第2期ターボエンジンからF1に携わり、最近では大ヒット作、初代N BOXの開発責任者

担当A:浅木さんがホンダのラスボスなんですね。 米家:本人は猛獣だと言ってます。普通じゃない発想で物をつくる人ですから、浅木第1号のパワーユニットが楽しみですよ。 担当A:えっ!? ホンダの2018年型パワーユニットはまだ浅木さんの手によるものではない? 米家:まあ、いまトロロッソに載っかってるやつは去年と一緒って言ったほうがいいんじゃないですか。MGU-H(熱エネルギー回生システム)だけ変えて、ほかはほぼ一緒。ヘタにいじると壊れるおそれがあるものを投入することになるから、まず開幕段階では信頼性を最優先に、昨年型に手直しを加えたものを投入したんです。浅木さんが指揮を執るようになったのが昨年の12月。実際には9月にHRD Sakuraに来てみてるんですが、当然そこからでは開幕には間に合わない。半年くらい先に向けて新しいものを作るというやり方なので、開幕はとりあえず去年の壊れないバージョンで臨みましょうっていうのが今年のやり方。だから「半年待ってほしい」と浅木さんが言ってました。だだ、最強メルセデスパワーユニットに一気に追いつくのは難しいみたいですけどね。 担当A:今のホンダパワーユニットとルノーとの差は? 米家:ほぼ一緒みたいですよ。実際には10馬力も差がない。レッドブルがホンダのことをすごく気にしていて、彼らがGPSのデータ分析した結果「ルノーと変わんないよ」と言ってました。 担当A:「浅木スペシャル」ともいうべき1回目のアップデートはどのGPで投入予定ですか? 米家:予定は未定らしい(笑)。第5戦スペインGPあたりがひとつのターゲットになるでしょうけど、どうも厳しいらしい。とはいえ、いきなり出てくるかもしれません。結構いい感じものがベンチでは回ってるらしいですから。それでも「もう壊れないから大丈夫だね」とはなかなか言えないから、まだ時間がかかるでしょうね。 担当A:バーレーン4位で優勝したかの喜びようを見たら、チームの雰囲気もいいんだなって思いました。 F1開幕スペシャル
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バーレーンGPのガスリー決勝4位は、ホンダにとって2015年F1復帰後の最高位!

米家:ほとんどのメカニックがイタリア人だから(笑)。大の大人がぴょんぴょん飛び跳ねて全身で喜びを爆発させ、国際映像のカメラに向かってガッツポーズしてた(笑)。4位のガスリーはレース後のテレビ取材とか終えて、しばらくしてからガレージに戻ったきたんですが、みんなで集合写真を撮り、その勢いでガスリーを胴上げしてました。一度優勝はありますが、彼らにとってもこの4位は大きな一歩。マクラーレンだったら「これが本来の位置だよ」って言うだけじゃないですか。ホンダの踏み出した一歩とトロロッソの一歩が同じレベルなのがいい。
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「ホンダF1活動第5期」のスタート
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