恋が一瞬で冷めた男の部屋。“幼稚舎から慶応”ボーイの自宅にあったものは…?
しかしこれはほんの序の口に過ぎなかった。楢崎さんが洗面所で手を洗うと、彼から「これ、使っていいよ」とタオルを差し出された。なんとそのタオルが、慶應のオリジナルタオルであったという。
「真っ白なタオルの端には、慶應カラーであるエンジとネイビーの線が入っていました。このタオル、使い古してクタっとしていたならまだ『物持ちがいいんだね』って許せました。でも、彼から渡されたそれは新品のように真っさらでふかふかなタオル。まったく水を吸わず、ただ私をイラつかせるだけでした」
そして洗面所を見渡すと、母親のものと思われるシャネルのチャンスオータンドゥルボディクリーム(200g)が。さぞかしキレイな母親なのだろうと想像した楢崎さんだったが……。
「その後リビングルームで見た彼の家族写真に映っていたの母親の姿は宜保愛子をふくよかにしたようなケバいおばさん。慶應ランドセルにタオル、さらには母親の容姿ですでにドン引きしていましたが、彼の部屋で結局、Hをする流れに……」
一通りのことを終え、伊勢丹で買ったスタディオファイブの黒いショーツを履き終えたその時だった。
「何か部屋着を貸してとお願いしたのですが、その時に出されたのはブカブカの慶應のラガーシャツ。Hの後でこれを女に着せるのが彼のフェティシズムなのかもしれません。世の中は私も含めてハイスペ好き女子が想像以上に多いです。慶應のラガーシャツを着せてもらえるだけで濡れてしまうようなコもいるのかなと思いましたが、正直すでに私は、この日で彼とは最後だなという感情しか浮かびませんでした」
夕方、両親が帰ってくるまで楢崎さんは彼とコーヒーを飲みながらしばらく話した。そこで彼の甘えたキャリアプランを聞くことになる。
「将来は父親の会社を継げばいいと言っていました。彼の自宅のクルマはレクサスのLS。典型的な法人が税金対策で買うクルマです。が、後に父親が会社をたたんだという話を聞きました。今も同じIT企業で働いていると言いますから、未だに単なる年収1000万円程度のサラリーマンが慶應ブランドで女を次々と落として無双できると思ったら、これほど笑える勘違いはないですよね」
「ペンは剣よりも強し」とは言うが、ペンで戦えなかった彼は、KEIOという剣をブンブンと振り回していた。男の部屋に足を運ぶことで見える真実。現在婚活中だという楢崎さんは、男の部屋に足を運ぶことで大きな学びを得たようだ。<文/武にちほ>
― モテない男の部屋 ―
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